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67 時の牢獄(2)




 サカたち、ここにいる子供は黒霊のことは危険な敵だ、としか認識していない。

 アレがなんなのか、なぜいるのかなどは知らない。

 大人たちだけが黒霊については深く知っていた。



「魔法を使える転移者たちだよ、アレは」


 オットはそう語る。

 転移者たちが迷い込んできた当初、彼らはマトモだった。しかし、いつからか加わった女がおかしくしてしまった。

 そして里に隠されていた時間を操る魔法が奪われた。竜の魔法であるそれは、その種が里に保管され、守られてきた。

 隠れ里の人間はもちろん、シャギアにも使うことはできない、竜の魔法。


「竜の魔法ですか?」


「そうだ。魔法のスキルだ」


「スキル?」


「アンタの、家を建てたり石なんかをしまったり、それもスキルだろ?」


「ああ、そうなんでしょうか…」


 正直、その辺のこともゴキョウはよくわかってない。なんとなく、ゲームでできたことが何故かできる、程度の認識のままである。


「まあ、それはいい。俺たちもその竜の魔法がどんなものなのかは、詳しく知らなかったんだ…」



 オットが見たのはその魔法が奪われた後だったらしい。

 

 まず、女がその魔法を転移者の一人に使わせた。すると、その魔法を使った転移者は霧のように消えてしまった。

 その直後に次々と、他の転移者も消えていった。


 そして全ての転移者がいなくなったと思ったら、今度は黒いモヤを纏った転移者が現れた。

 顔はよく見えなかったが着ていたものや装備などで転移者とわかったそうだ。

 そして、再び戦いが始まった。

 かなりの魔法を奪われはしたが、転移者たちは戦闘などそれまでしたことがなかったような者ばかり。里の人間からすれば勝てないということはなかったそうだ。

 実際、転移者が暴れ回り、竜の魔法を奪うことができたのは例の女の援護や助力があったからだろうとオットは言う。

 しかし、黒いモヤを纏って現れた転移者たちは奪った魔法をほとんど使うことはなく、里で奪った狩用の弓矢や、女がどこからか用意した防具や武器で戦うばかりだった。時々、火矢の魔法は使用してきたが。


 油断さえしなければどうとでもなる相手になった転移者は数日で全て、里に残っていた大人やシャギアによって倒された。しかし、死体が残ることはなく、霧散するように消えてしまった。


 そこから今の状況につながる。

 黒霊となった転移者は倒せるが、しばらくするとどこからともなく復活してくる。

 いつまでも、何度でも。キリがないと里の人間はそこを捨て、近く、別の場所へと移住した。シャギアだけが廃墟の中の塔に残り、里の守り人…守り猫となった。

 

 彼ら、転移者のなれ果てどもは人がいなくなった廃墟の隠れ里を徘徊し、離れることはない。

 離れにあった塔にもよく現れては、シャギアに倒されていたらしい。


 しばらくの時間が経ち、そこに塔の下からゴギョウがやってきて、今に至るそうだが。


 今度はまた、シャギアに尋ねることができた。

 何故塔に残ったのか。何故ゴギョウに里の修復を依頼したのか。青い石のことも、色々とまた聞きにいかねばならないだろう。








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