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28 廃坑街 帰路



 坂を上りながら下を覗き込む。すり鉢状の穴の至る所に掘削の跡があり、遠目になれはて工夫の姿も見える。

 蛭は…いないようだ。


「ミナミさんはどこから入ってきたんですか?」


「ん?ああ、えっと…、ここの反対側、上の方に大きな穴があいてるのわかる?」


 ミナミの指差した方に他の洞窟のような掘削跡とは異なる四角い穴が見えた。


「あそこが街の近くにつながってて、小さな洞窟とか通ってあのゴブリンのいる場所まで行けたのよ」


 四角い洞窟の入り口の外は切り立った崖になっていて、とても登れそうにはない。

 小さな洞窟は迷路のようになっていて、そこを探索しながらミナミは降り進んできたらしい。



 話しているうちにゴギョウたちは鉄扉の前に着いた。

 扉は開いたままになっており何かが侵入しているようだ。


「えっ、どうやってここ開けたの?私が開けようとしても開かなかったのに!」


「反対側にかんぬきがかかっていましたね」


 言いながらゴギョウはアイテムストレージから取り出してかんぬきを見せる。


「ダンジョンの金属じゃない!それも大きい!…すごい……」


 ダンジョン産の鉱物やアイテムは入手が難しいものが多く、加工もある程度のスキルレベルなどが必要で、このかんぬきのような鉄塊は貴重なのだそうだ。  



「この先にも白いヤツいたんですよね。閉めた扉が開いているし気をつけて進みましょう」


「あんた、アレも倒せるの…?」


「あ、はい、見た目や爪とか怖いけど柔らかくて攻撃は通りやすいですよね」


「…腕はどうしたのよ」


 片腕だけ守るような装備や、アイテムを取り出す時もお茶を飲んでいる時もゴギョウは右腕だけでやっていた。

 

「これは、最初の拠点にしてたところで怪我しちゃいまして、うまく動かせないんですよ」


「そう…でも、怪我で済んでよかったわね」


「ええ、回復魔法が使える知り合いがいて、命は助かりました」


 ミナミは何か考え込んでいるようだが、このままここで立ち話を続けるのもおかしいのでゴギョウはショートソードを手に持ち、扉の奥へ警戒しながら進んでいった。



「いた」


 ゴギョウ小声でつぶやいてミナミに注意を促す。

 

「いきます」


 エレベーターのあった部屋の前に設置した安全地帯の前で二体のなれはて坑夫がたむろしており、ゴギョウはなるべく音を立てないよう階段を駆け下りて手前にいた一体を切りつけた。

 力を込めなくともなれはて坑夫に大きな切り傷をつけ、「グギャッ」と短く叫んで動かなくなる。

 突然相棒?が倒され驚いていたもう一体のなれはて坑夫は叫びながら両腕を振り上げゴギョウに反撃を試みた。

 しかしゴギョウのスキルで作られた壁に阻まれ、その振り下ろした腕を切りつけられる。


 呻き声をあげながらなれはて坑夫は腕をだらりと下ろし、前のめりに倒れ込むと次第に動かなくなった。


「おそろしいわね…」


 少し離れたところからゴギョウを見下ろすミナミはゴクリと喉を鳴らして冷や汗をかいた。

 ゴギョウは慣れた手つきでなれはて坑夫の素材を回収してショートソードを鞘に収めた。


「ミナミさん、その先の部屋に入っていてください。そこは安全だと思います」


 聞きたいことは山ほどあるが、ミナミはとりあえずゴギョウの指した部屋に入る。

 その部屋のエレベーターを見てミナミはさらに驚いたのか、言葉を無くし固まる。ゲームでもよく見たタイプの仕掛けエレベーターだったからだ。

 大抵はダンジョンのクリア後によくある出口へのショートカットのようだった。


 ゴギョウと共にエレベーターで上に向かう。

 その先また、驚くことになった。青い篝火や薪に使用する鉱石が多くあったからだ。ミナミが廃坑街を探索していた理由はこれであった。


 すでにゴギョウによって出入口はモンスターが入らないようにしてあった。ミナミはいくつかの青い鉱石を拾いながらゴギョウの後をついていく。


 突き当たりの壁を崩した先、掘りかけのトンネルを見てミナミはさらに驚くのだった。








間が空いてしまいました…。



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