表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/72

22 廃校街 よろず屋


「なあ、旦那。何か買ってってくれよ!」


 部屋の奥には石でできたカウンターがあり、その上からその声は聞こえてきた。

 輝石で照らされた部屋にいたのは、尖った耳に禿げ上がった頭。ギョロリとした眼に体格は子供のように小さい。まるでファンタジーに出てくるゴブリンのようだった。

 ただ肌の色は物語やゲームでは緑のイメージがあるがコイツの肌は黒い。

 黒いゴブリン。それが言葉を発しているのだ。違和感が凄い。

 

「持ってんだろう?旦那、この世界の人間じゃあないんだろう?なんか買っていっておくれよ」


 黄色い瞳のゴブリンはこちらが一言も喋っていないのにペラペラと話しかけてくる。しかも、転移者であることがわかるようだ。


「お前はなんなんだ?モンスターじゃないのか?」


「あっしはゴブリン族、モンスターじゃあないですよ旦那。ゴブリン族のよろず屋、ボッカと言いましてね、とりあえず何か必要なものがあったら売りますよ、さあさあ、何か買ってってくれよ」


 ゴギョウの短い一言につらつらとやかましく喋りかけてくる。この黒いゴブリン、ボッカは黒い体を活かして暗闇を移動し、さまざまなものを集める。そしてため込んだものを物々交換などで生活しているそうだ。

 そしてゴギョウを転移者とわかったのは、こんな場所に薬や食料の詰まったバッグや予備の武器など、そう言った荷物を全く持っていないからだという。

 さらに、この廃校街には、別の転移者が1人いるらしいのだ。


 「交換といっても僕は今『なれはて坑夫』の爪や牙みたいな素材と魔石がすこしあるだけだよ」


 見た目は恐ろしいがニコニコと笑顔?で人懐っこい話し方をする。敵意がないようなので剣を収め話をしてみることにした。


「ええ、ええ、旦那。旦那が転移者ならレベルがあるでしょう?」


「ああ、そうみたいだね、それがどうしたの?」


「ええ、はい、このボッカのよろず屋、物と物の交換もしますがね、ええ、旦那の経験値でもお買い物ができますよ、ええ」



 そう言ってボッカは懐から四角い水晶を取り出す。紫色に濁ったそれに触れると任意の経験値をため込むことができるらしい。そして溜め込んだ経験値をボッカは『有効利用』するのだそうだ。



「経験値なんてどうやってわかるんだ?」


「旦那たちはみれるらしいですよ、ええ、あっしはわからないんですがね、ええ、はい、なにか、知らないんですがね」


 廃校街にもう1人いるという転移者がそう言っていたらし

い。

 ゴギョウは整地ばかりしていたのでゲームのステータスやスキルについてはあまり詳しくない。


 ステータス画面も最低限しか見ていないので、なんなら自分のレベルもイマイチ覚えていない。

 2日目にレベルが上がって以来上がっていないはずだだし、余計にステータスウインドウを見ることがない。


 専らアイテムストレージや、アイテムの説明ばかりだ。


「ああ、でも旦那、この水晶に触ってもらったら、はい、わかりますよ、はい」


「へえ、触ってみてもいいかな?」


「どうぞどうそ、ぜひ触ってください」



 ゴギョウが紫色の水晶に触れるとぼんやりと手元が光り始めた。

 浮かび上がった数字はおよそ14万弱。


「へへへ、旦那!持ってますね!ええ、ええ、うちのものならなんだって買えますよ、ええ、ええ!」



 ボッカは興奮したように鼻息を荒くし目を輝かせる。


「ちなみに物々交換だとどうなるんだ?」


「ええ、はい、使えるものはそのまま使用しますし、はい、使わないものでしたら、この槌で叩くと、経験値に変換されて、はい、水晶に、はい、吸収させます、ええ」



 ふむ、この水晶は経験値、レベルを上げるためのエネルギーを収納しておける財布のようなものなのだろうか。


 ゴギョウは手持ちのなれはて坑夫の素材や、鉱石、魔石の一部を経験値として砕いてもらうとこにした。


「旦那、結構もっておりますね、ええ、720ソルになりました、ささ、商品見てください」


 


 そう言ってボッカはカウンターに並べられた石ころや貴金属などを勧めてきた。



「このキラキラした石はなんだ?」


「ええ、ええ、それはですね…」



 と端から説明してくれる。



 流石ながれいし

  【傷ついた体をすこしだけ、ゆっくりと癒してくれる】

 流石 中

  【傷ついた体をゆっくりと癒してくれる】

 火石ひいし

  【魔力を込めると少しだけ火が出る】

 キラキラ石

  【綺麗に光る石。目印になる。壊れやすい。】


 木の矢

  【小さな金属矢尻の矢】

 鉄の矢

  【金属でできた矢。優れた刺突力】

 小さな投げナイフ

  【とても小さな金属ナイフ】


 小さな赤い石の指輪

  【火除けのまじないがかかった指輪】

 小さな薬石の指輪

  【ほんの少しだけ毒耐性が上がる】

 足下のアンクレット

  【装備者の立てる物音を少し小さくしてくれる】


 廃校街下層の鍵

  【廃校街のどこかの鍵】




「ええ、旦那!なににしましょう?」



 せっかくだ、何かを買うとしよう。

 ゴギョウは変換した経験値、『ソル』で買えるだけ買うことにした。




よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 既出ですが、サブタイは誤字報告出せないので、感想で。 『廃校街』→『廃坑街』
[気になる点] サブタイトル 廃校街 (´・ω・`) 前話でも廃校× 廃坑○ があったけどもこれはここで報告せざるを得ない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ