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プロローグ




 何もしないで10日、こんなに幸せなことはない。

 今日もクーラーの効いた部屋の中、夏の1日を外に出ることなく過ごすのだ。

 

 五行幸成[ゴギョウユキナリ]、27歳。先日晴れてブラック居酒屋を退職し、自由の身となった。

 17歳からアルバイトを始め、18歳でそのまま就職。特にやりたいこともなく、何も考えずに働いてきた。

 長時間労働、サービス残業当たり前、もちろん有給などというものはなく10年も勤めたのだ。2度の転勤もあった。

 30を前に、このままでいいのか、と考え始め、思うところがあったのだ。が、だらだらと働き続け、展望もなくやめた。

 これまで特に大金を使うこともなく、わずかだが蓄えもある。半年はだらだらと、人生の夏休みを満喫しようと思う。

 すでに失業保険の申請も済ませ、これからは月に何度か職探しをしていれば良い。


 それはそうと、六畳一間のアパート。ローテーブルの上に置かれた段ボールにはかねてより楽しみにしていた新しいゲームが入っている。ちょうど今日、届いたのだ。

 

 『クラフトアドベンチャーワールドオンライン』


 通称CAWO。所謂クラフト系の箱庭ゲームであるが、RPGの要素もあり、自由度の高いプレイが可能なオンラインゲームである。

 五行幸成は無職である。この新発売のゲームを発売日に手に入れ、無職らしく思う存分遊び倒すのだ。



 キャラメイクはそこそこに、髪型だけリアルに寄せたモジャモジャにする。早速プレイ開始。

 

 クラフトアドベンチャーワールドオンラインの世界は広く、公式でもその広さは発表されておらず、プレイヤーにその広大さを確認してほしい、と謳われている。

 スタート地点は完全ランダム、NPCのいる村や町であったり、草原のど真ん中、絶海の小島、砂漠や大森林など様々な場所からスタートする。


 五行幸成は自然豊かな山岳地帯からのスタートとなった。

 木材や石材は豊富にあり、シカやオオカミなど開拓も冒険もやりがいのありそうな場所である。

 初期アイテムはプレイヤーの拠点を定める『青い篝火』、最低限の装備『粗末な布の服一式』、「粗末な石のツルハシ』のみである。


 まずは木材、石材、土などを延々と集める。石炭や銅なども手に入れた。手ごろな山肌を掘り進め小さな洞窟を仮の拠点とし、動物を狩り、果物を集め、山菜なども集めクラフトしたスタッシュボックスにどんどん放り込む。

 ステータスによって所持重量に制限があり、集めたアイテムを持てる量にも限界があるのだ。

 ゲーム内で日が暮れるとモンスターも活発になり戦闘も増える。レベルも上げながら武器などもクラフトしていく。

 『青い篝火』で定める本拠地となる場所は、できれば海の見える、素材の豊富な森や、NPCもある町へも行きやすいような場所が良い。『青い篝火』は大事にとっておく。

 城のような巨大建築が良いか、リゾートの別荘のようなものが良いか、今からワクワクする。


 社会人になって初めてのまとまった休み期間である。テンションの上がりまくった五行幸成はそのからの拠点のまま夢中になって素材を集め続けた。

 ただそれだけの作業が楽しくてしょうがない。まぁまぁの大きさの山が1つ無くなり、森が平原へと変わる。




 

 無職のテンションは上がり続け、何度か寝落ちを挟みつつ、風呂にも入らず、スナックや菓子パンをかじりながらプレイ開始から4日が経とうとしていた。




 モジャモジャの癖っ毛の髪はもはや臭そう。目なんて完全に血走っている。

 連続プレイ時間が80時間を超えたあたりから意識は朦朧を過ぎ、最早体の感覚もおかしくなっている。

 セーブをして、そろそろちゃんと休もう。無職最高。たっぷり寝てからまたたっぷりとこの世界を堪能するのだ。

 明日は本拠地を探すのだ。

 まだ見ぬ絶景よ。待っていろ。


 限界の意識の中、五行幸成はログアウトの項目をクリックした。

 


ちまちまと書きためている最中です。

何卒よろしくお願いします。

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