ルエイーナ・涙腺崩壊。2
「とりあえず、おばあちゃんは人化できるのか?」
人化は、魔力が大きいほど出来なくなっていく。
そのため、幾星霜を経たドラゴンは辺境の地にいることが多い。
「おばあちゃんも人、なれるよ?」
その言葉に一安心するグンジョウ。
と、その時。
「うぅ…」
小さなうめき声がした。
慌てて振り向くグンジョウの目に映ったのは。
「ルエイーナ……?」
泣きまくるルエイーナだった。
普段のクール(?)なイメージはどこへやら、ぼろぼろと大粒の涙を流している。
「これ、使うか?」
ハンカチを差し出すグンジョウ。
とっさの判断にしてはなかなかいい行動だ。
「ありがどゔございまず…」
受け取ったハンカチで涙を拭うが、涙が止まらないルエイーナ。
(こういうときってどうすんだよ………)
混乱するグンジョウ。
「おねーちゃん、大丈夫?」
ナイスな事に、ドラゴン娘が動く。
「ずみまぜん、ちょっと感動しちゃって…」
感動したとしても泣きすぎだ。
ルエイーナがいつも着ているスーツ風の服が、胸の辺りまで完全に濡れている。
「これ、着ておいたほうがいい。多分。」
混乱が抜けないままなので片言なグンジョウ。
自分が着ていたコートを差し出す。
「あ、ありがどうございます…」
まだ泣きながらコートを羽織るルエイーナ。
そのままルエイーナは自分の部屋へと帰り、ドラゴン娘とグンジョウの話はなんとかまとまった。
その後、割れた窓ガラスはグンジョウが魔法で直した。
そして、コートは返ってこなかった。