魔王城の危機2
ルエイーナはフリーズ状態からなんとか意識を回復させ、一筋の汗を流しながら魔王に問う。
「し、使用人がいなかったらどうしますか?」
その問いに、魔王は至極当然のように答える。
「…城に帰ってネットで買うだろ?」
何の疑問もない顔で発されたその答えで、ルエイーナはまたフリーズしそうになる。
「……………もうこの話はやめにしましょう、魔王様。」
これではいつまでたっても話が進まない。
そう思ったルエイーナは、単刀直入に言う。
「売掛金が無しです。」
「どういう事だ?」
ルエイーナの予想した通りの反応。
「売掛金は、商品を売って、そのお金を後で貰うという勘定科目です。そして、同じような役割の約束手形などもありません。それらが無いという事は、これ以上の収益は見込めないかもしれないという事です。
…商品が売れる以外は。」
そう言うと、魔王は
「それなら、商品を売ればいいだけではないか?」
と言う。
それが出来たらどれだけ良いことか。
「お言葉ですが、只今の魔王城の取扱商品は大まかに分けて、魔道具・武具・魔王城公式グッズの3種類です。
魔道具・武具は完売、魔王城公式グッズは……大量にあります。ほぼ売れていません。」
魔王は愕然とした。
自分が作ったものは、それほどまでに価値が無いのかと。
そしてルエイーナに問う。
「グッズは具体的に何個売れた?」
返ってきたのは、
「10万個中、1,012個です。残りは、998,988個になります。」
という声だった。