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魔王城、貸します  作者: 一橋幻冬
1/7

魔王城の危機

〜魔王城、魔王の部屋〜




それは、ある昼の事。

魔王は、執務を行なっていた。

廊下から走ってくる音が聞こえ、魔王は顔を上げる。

それと同時に、ドアが開いた。

ドアを開けたのは、スカイブルーの髪を低い位置で纏めた耳の長い女性エルフ。年齢は二十代前半くらいだろう。



「魔王様、大変です!!」

「どうした、ル…なんだっけ、名前。」

魔王城には沢山の魔者がいる。

一人一人の名前を覚えていられる方がおかしい。




「いい加減覚えてくださっても良いのではありませんか!?私の名前はルエイーナ・パラキウスです!!ル・エ・イ・ー・ナですよ!わかりましたか!?」

「そんなに言わなくても覚えているさ、ルエイーナ。で、大変な事とは?」

「そ、そうでした!…実は、魔王城の決算が酷いんです!」

「そういえば魔王城経理係所属だったっけ?

今思い出した。」


「覚えていて下さったんですか!?恐悦至極です!」

「…話が全く進まないな。早く何があったのか話してくれ。」

「はい!この魔王城の決算なんですが、売上総利益が100円です。」

「…………………え?」

「ですから、100円です。」

本当ガチで?」

思わず本音が出てしまった魔王。慌てて口元に手をやるが、ルエイーナは跪いているため、気付かない。


「はい、ガチです。

…魔王様、売掛金という言葉はご存知ですか?」

急に飛び出した専門用語に、魔王は驚く。

「…知らん。何それ。」

ルエイーナは、魔王の口調が変わった事に気付く事なく、口を開く。

「では魔王様、分かりやすく説明致します。

まず、商品を買ったらお金を払いますよね。

その時に手持ちがなかったらどうされますか?」

この質問に、 魔王は戸惑う。

…手持ちがない、とは?


そう、魔王は金が無いという経験がなかった。

それ故に、ルエイーナの質問にひどく戸惑っていた。

否、フリーズしていた。


「魔王様?」


そのフリーズは、ルエイーナが魔王に話しかけるまで続いた。

そして魔王は、ルエイーナに素朴な疑問を伝える。


「…手持ちがない事なんて今まで1度も無いんだが。

もしも手持ちがなかったとしても、使用人に任せれば良いだけだ。」


今度はルエイーナがフリーズした。






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