表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂の解放者 ―ソウル・リベレーター  作者: ログテラ
二章二部:学院交流編
92/356

仲間たちの成長

 俺達があのダンジョンを脱出してから、はや数日が過ぎた。

 あのダンジョンの入り口は封鎖され、誰も入れなくなっている。

 唯一入れるのが、ルトリア王国の調査団だけだ。

 

 調査団が立ち入れなかったのでは元も子もない。

 調査団だけにはあのダンジョンへの立ち入り許可が出ていた。

 しかし、あのダンジョンから実際に生還した俺達へは許可が出されていない。


 上部は大人で組織された調査団の方が強いと思っているようだ。

 

 ―――――少なくとも、システィナ一人で調査団全てを倒せてしまうだろうが。


 まあ、そんなことを言っても聞き入れられないのがこの世の悲しい現実だ。

 俺には出来ることは何もない。

 

 クレイグとエーミールは無事に目を覚ました。

 検査では、原因不明の魔力症候群と診断された。


 それもそのはずである。

 あの空間には、負の魔力が瘴気として漂っていたのだ。

 その空間から無事に生還しただけでも素晴らしいことだと言えるだろう。

 

 システィナによる延命処置がなかったら助からなかったかもしれない。

 そういう点では彼女に感謝せねばならない。


 ―――――後日彼女の生命力の反作用でクレイグとエーミールが寝込む期間が長くなってしまったのだが。


 しかし、クレイグとエーミールは無事だった。

 何の後遺症もなく俺達と共に生きて帰ってきたのだ。


 今日行われているのは、野外でのチーム対抗試合だ。


 致命傷を防ぐ結界の広域版を使用して行われる、実際の平原での戦いだ。

 かなり広い空間で戦うことになるため、より高度な戦術が求められる。


 しかし。


 俺達には、そんなものは関係なかった。


 「よし、ぶちかましてやれ!」


 クレイグが叫んだ。


 それと同時に、俺達の後方から魔法の雨が降り注ぐ。


 ―――――100メートル以上離れた敵へと。


 俺達のチームに所属する魔術師は、使用できる魔法の射程距離も長い。

 中距離を専門とする者もいるのだが、実際は遠距離にも対応できる。


 それが顕著に表れているのが、システィナだ。

 システィナは普段中距離からの魔法ばかりを扱うが、場合によっては500メートル並の距離を狙撃する。


 彼女の光魔法によって一瞬で敵を蒸発させてしまうのだ。

 まあ、それは魔物相手の話であり、このフィールド内では彼女の魔法であっても防げてしまう。


 彼女があまりにも強い魔法を放てば話は別になるが、少なくともクレアたちの魔法では結界は破壊されないだろう。


 俺達のレベルは大きく上昇している。

 俺とシスティナ以外、全員のレベルが70に到達したのだ。


 俺は140ものレベルになった。

 システィナはレベルが高すぎてレベルは上昇していないが、他のメンバーは大きくレベルを上げた。

 

 あのダンジョンでは、レベルが80を超えるような敵ばかりが出現していたのだ。

 それを大量に倒していたのだから、レベルが大きく上がっても問題ではない。


 レベルが上がった証拠に、彼らの動きは格段に速くなっている。 

 特にクレイグだ。

 

 彼はもともと俺に迫るほどの剣の速さだったが、更に速くなっている。

 俺をも超すほどの勢いで二刀流を操るのだ。

 筋力も上昇したことで彼の剣さばきはより軽くなり、速くなったのにもかかわらずその威力は上昇している。

 

 エーミールやエトガーにも同じことが言える。

 

 エーミールの大剣さばきはさらに磨きがかかった。

 筋力の向上により、彼の剣の速さは上昇した。

 これまではゆっくりと大降りにしか動かせなかったが、今はもう素早く剣を動かして防御することが可能になっている。


 エトガーは俺達のチームの中ではトップクラスの俊敏性を持つようになった。

 もともと移動速度は速く、敵をかく乱することに長けていた彼だが、今はもうそんなレベルではない。

 

 敵を撹乱しつつ、素早く敵の背後に周って短剣で急所を一突きするという圧倒的な強さを手に入れたのだ。

 その動きはもう俺たち以外には捕らえられないだろう。


 そして、魔術師たち。

 俺達のチームに所属する魔術師。


 クレア、アン、エルナ、エリーゼ、エーリカ。

 彼女たちは大きく魔力を上昇させた。

 魔法の威力はさらに上がり、精密性も上昇したのだ。


 特にエリーゼの光魔法を紹介するべきだろう。

 彼女の光魔法のレーザーは、更に威力が上がったのだ。


 彼女自身の魔力量が上昇したことにより、これまでと変わらない威力でより大量のレーザーを放出できるようになったのだ。


 システィナほどとは言わないが、威圧感はすさまじいレーザーの束を放出できるようになった。


 あれを初めて魔物に放った時は、みんながもう驚きに驚いた。


 50メートルの位置から、ゴブリンの四肢がずたずたに焼き切られ、心臓にも大穴が空き、頭は吹っ飛ばされていた。

 

 これまでは単体に放つのが適性の威力だったのに、もう彼女の魔法は複数の敵に致命傷を与えられるようになったのだ。

 むしろ、単体に放つとオーバーキルになってしまうだろう。


 クレアとアンも、その魔法の威力をさらに向上させていた。

 もともと連携魔法で凄まじい威力を発揮していた彼女たちだが、それにさらに磨きがかかったのだ。


 炎魔法と風魔法の合わせ技である、熱風の嵐。

 その威力も範囲も共に向上した。


 もうすでに、遠くから見ればただの竜巻にしか見えないだろう。

 何も知らないものから見れば、赤い竜巻が起きているように見える。


 それほどの威力を持つようになった。

 流石にこれを室内で使うのは危なすぎるので、彼女たちはこれを野外以外では使わない。


 それでも、個々の力も上昇しているのだ。


 クレアはより近距離での魔法が得意になった。

 これで彼女は全距離に対応できるようになったと言える。


 そして、アンも同様である。

 彼女は風魔法の使い手だが、既にある一つの魔法を編み出したのだ。


 俺達のアドバイスで新たな観点から作り出した魔法である。


 それが、”エアーバースト”である。


 俺があのダンジョンで手に入れてきた物質移動能力は、空気も移動できる。

 

 それによって、俺は空気を圧縮させて破裂させるという攻撃が可能になったのだ。


 それを風魔法で再現しようと試みたものがこれである。


 この魔法は、相手の周囲の空気を圧縮して破裂させる、俺のものと同じ用法をとる。

 しかし、威力は段違いだ。


 俺のものが、ただの猫だまし程度にしか使えないのに対して、彼女のものは爆発そのものである。


 空気が爆裂することにより、その周囲の生物には大量の傷が出来るのだ。

 空気が不可視の刃となって襲い掛かる恐怖はもう想像を絶するものだろう。

 それを彼女は使えるようになったのだ。


 その魔法は対多数は勿論、対単体での威力も兼ね備える。

 彼女に安易に近づけば、この魔法にやられてしまうわけだ。


 そして、エルナとエーリカ。


 彼女たちはシスティナと意気投合していた。


 システィナ自身、圧倒的な魔法を操る魔術師である。

 

 特に、エーリカはシスティナと同じ混沌魔法を使うものとして興味を寄せられていた。


 エルナはシスティナの指導で広範囲殲滅攻撃を手に入れることに成功したのだ。

 

 これまでのエルナの雷魔法は、エリーゼのレーザーを太くしたようなものだった。

 柱状に放たれるため、避けることが容易だった。


 しかし、エルナが手に入れた魔法は避けることは困難である。


 地面に対して広範囲に雷が放たれることによって、通電して雷が敵に放たれるのだ。

 これが彼女の手に入れた魔法の正体。


 もしこのチームに水魔法を使用する人間がいたのなら、もうエルナの魔法は完全なものになっていただろう。

 水魔法によって雨を降らせてから広範囲に雷を降らせれば、もう範囲内の生物は感電して即死する。


 残念ながら、このチームには水魔法の使い手はいない。

 エルナが凶悪な攻撃を手に入れるまでには至っていないという事だ。


 そしてエーリカ。

 彼女はシスティナの手で凶悪なまでの威力を持つ混沌魔法を手に入れた。


 エーリカはシスティナと共に二人きりで混沌魔法の修練をしていたのだ。

 

 昨日の夜、エーリカの姿を見たときは、彼女とは思えなかった。

 その隣を歩いているシスティナは平然としていたのに、エーリカだけは青ざめていた。


 一体何をしたのか、とシスティナに聞いてみるも、彼女は「秘密です」とだけ言って何も教えてくれなかった。

 気になるところだが、教えてくれないのであれば知る手段はない。


 エーリカがそこまで過酷な修練を経て手に入れたのは、混沌魔法の中でもひときわ恐ろしいものだった。


 混沌そのものがあふれ出て敵に食らいつき、そのまま空間ごと侵食する。

 彼女が過去に使った、混沌の機雷を発展させたものだ。

 空間ごと侵食するので威力は最上級、混沌を放出するので範囲も広い。


 彼女の手から混沌で形作られた蛇が飛び出し、それが魔物を食らいつくすさまを俺達は恐ろしい目で見ていた。


 混沌魔法は威力が高い強力な魔法であるが、その代わり修練が難しいという欠点がある。

 混沌魔法を修練するものが少ないこともあり、他の人間に頼らずに独学で学ぶしかないのだ。


 システィナは混沌魔法の申し子のような存在なので、エーリカにとってはこれまでにない僥倖であっただろう。


 その代わり、彼女の精神は極限まですり減ったようだが。


 しかし、彼女の戦闘能力が上昇したのは間違いない。


 全員がそれぞれ、レベルが上がったことを利用して能力を向上させたのだ。

 

 もちろん、他のチームなど相手にもならない。


 今のように、魔法によって遠距離からでも一瞬で全滅するのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ