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修学旅行の劇の台本  作者: ラノベっ子_ヨリ
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子豚、狸…

2人の男が歌いながら入ってくる。


「こーぶた♪」


「こーぶた♪」


「たーぬき♪」


「たーぬき♪」


ふと、前を歩いていた男が振り返りそばにあったひとりがけの椅子(用意できなかった場合は…人?)に腰掛けながら言う。


「…君がこの話を受け入れなかった場合、君のお父さんの会社への融資の件は…分かるね?」


「ね…ねーこ」


「『ねーこ』じゃあないんだ。そんなことくらい君にも分かるだろう?…もう一度だけいうよ?君がこの話を受け入れなかった場合、君のお父さんの会社への融資の件は…分かるね?」


「ですが!!」


もう一人の男が叫ぶ。


「ですが、その話は無茶苦茶ですよ!!」


「無茶苦茶、とは?」


「融資する代わりに土地の権利書を寄越せ、だなんて!!」


「何故だい?」


男は不思議そうに尋ねる。


「だって、それを手放したらウチは途端にやっていけなくなる!!アンタらがウチの土地を売っぱらう腹積もりだからなぁ!!そんなのっ…」


「だからと言っても!!」


椅子に座った男が遮る。


「だからと言っても担保がなければ借りられないのは道理でしょうよ。君もわかっているはずだ。更に銀行からはもう借りられないときた。だったらウチを頼るしかないと言ってきたのはそちらでしょう?」


ニヤニヤと卑下た笑みを浮かべ男は冷酷に言い放つ。

そして続ける。


「全く…君のお父さんは無能だ。だからこうやって会社が、100年続いた会社が立ちいかなくなる。」


ギリィ、と、もう一人の男が奥歯を噛み締める。


「しかし、」


座った男が間を置いてから続ける。


「君は有能だ。だから我々は目を付けていた。君を引き抜きたいとも考えていた。君の有能さは『お得意様』から聞いていたのでね。いや、今はもう『お得意様』では無いのか。」


男は嗤う。


もう一人の男は考える。


「どうしてこうなったんだ…クソっ、分からねぇ。俺にもっと、もっと力があれば!!」


「もっと力が欲しいか?」


声が響く。それは座った男でも、もう一人の男でもない、第三者の声。


「誰だ!!」


もう一人の男は喋る。


「答えろ!!もっと力が欲しいか!!」


そして、新たな男が現れる。


「欲しいなら我の手を取れ。その勇気がないのであれば、失せよ。そしてどこぞでの垂れ死ぬがいいさ。」


「俺は…」


「決めるのはお前だ。このままなんの助けもなく死にゆくか、それとも我の手を取るか。」


「俺は!!」


もう一人の男が叫ぶ。

そして、誓う。


「力が欲しい。」


「ならば我と共にこい。」


そう言って新たな男が手を差し伸べる。

もう一人の男はその手を取る。


「申し遅れたな。我はカロネ。ゆめゆめ忘れるなかれ、我のこの名を。カロネの名を。」


そして舞台は暗転する。




「…!!」


もう一人の男が目を覚ます。

そこは見慣れた父の会社。


「何だったんだ?夢か?」


『ゆめゆめ忘れるなかれ、我の名を。カロネの名を。』


その言葉が頭から離れない。


「けど、もうすぐここともお別れか…」


そんな感傷的になっていると父が自分を呼ぶ声がする。

今行く、とだけ言い、そこに向かう。


さて、場面の説明をする必要があるかな?

何せもう一人の男もその状況を理解しあぐねていた。


父がいる。

ここまではいい。


しかし、そこには座った男もいる。


そして何より、ふたりが何かしらの書類を持って話している。


「なにボーッとしてんだ?お前も見ろよ!!融資の話が来たんだよ!!融資の!!この書類を見てみろよ!!」


父が嬉しそうに見せてくる。


「なるほど…過去か。あのカロネって奴は俺にチャンスをくれた訳だ…」


「何ブツブツ言ってんだ?気持ちわりぃぞ?」


「あぁ、悪ぃ。」


「とりあえず見ろよ!これ!いい話だろう?」


「そうですね、我社はほぼリスクゼロでお客様にご融資させて頂いておりますので。」


座った男がチャンスとばかりに畳み掛ける。


「ですよね!!なぁ○○、お前も受けるだろ?」

(○○には主役の奴の名前を入れてくれ)


「一見して良さそうな案件だが親父、この話は受けないでおこう。」


座った男の頬が少し引き攣る。


「何でだ?こんないい話中々ないだろう?」


「それでも、だ。ここを見てくれ。すごく小さいが『土地の権利書を寄越せ』って感じの文言が書いてあるだろう?それを渡して、勝手に売られでもしたら会社はどれだけ立ち直ろうが潰れるぞ?」


それに、と、もう一人の男は続ける。


「銀行に断られたのは追加融資の方だ。一般融資はまだ打ち切られていない。大丈夫。俺がどうとでもしてやるから、だから…」


「分かった。…すみません、そういう事なのでこの話は無かったことにして頂いても宜しいでしょうか。」


そう父が言った途端、座った男の顔から笑が消えた。


「後悔しても、知りませんよ?」


もう一人の男はこう返す。


「ええ、もう後悔するのは嫌なので。」


そして座った男が去っていく。


「上手くいったな。」


カロネが出てきて男に話しかけた。


「あぁ、お前のおかげでな。」


「では、対価を頂こう。」


「え?」


「我はカロネ。残心の悪魔カロネだ。対価は…そうだな。お前一人の命でいいぞ?」


カロネは楽しそうに言う。


「ふざけるな!!」


「ふざけているのはおまえだ!!」


カロネが怒鳴る。


「なんの対価も支払わず、自分だけがいい目をみて終わりだと?ふざけるのも大概にしろ!!」


「確かにそうだ。だがなぁ!!人情ってもんが!思いやりってもんがあるだろう!!」


「フハハハハハハ、我には無いな。なんと言っても悪魔、だからな。」


「俺は…俺はお前を忘れないぞ、カロネェ!!」

暗い?

知るかよそんなもん

魔改造はどんどんして行け。私は知らん。

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