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4.【番外編】ももの代わりの勇者・みすずちゃんの末路【鬱展開注意】

すいません。

このお話は残酷展開、鬱展開、胸糞展開になります。

このお話が入るからR15を選んだと言っても過言ではありません。

苦手な方、ごめんなさい。

 前世のももの代わりにもう一つの世界を救うことを託されたとき、新たな勇者はその時まだ2歳の女の子でした。


 みすずちゃんと言う名前の、腰まで伸ばした髪を三つ編みにしたかわいい娘です。


 小さな女の子ながらも、みすずちゃんは前の勇者からとっても強い力を引き継いでいました。


 だから、みすずちゃんが小学校にあがったころには、6年生の男子でも誰もみすずちゃんにはかないませんでした。


 2年生になるころには大人の兵士にだって勝てるようになりました。


 そしてみすずちゃんが3年生になった頃、早くも一人前の勇者に成長したみすずちゃんは、別の世界の魔王に戦いを挑んだの。


 小さなころから年上の男の子にすらほとんど負けなかった彼女は、怖いもの知らずだったのね。


 でも、それはあまりにも無謀な戦いでした。


 もっと、経験を積んでからにするべきだったのです。


 勇者は一人前になれば、普通の死に方をしても女神さまの力で復活することができます。


 だけど、魔王はみすずちゃんの戦う力を奪うために、大きな恐怖を与えることにしました。


 生きたまま徹底的にいたぶり、弄んで、勇者の心を完全に折ってしまったの。


 そして最後には、みすずちゃんはまだ強大な勇者の力を持っているにもかかわらず、魔王の部下に遭遇しただけでも腰を抜かしてお漏らしをしてしまうような、ただの臆病な女の子にされてしまったんです。


 こんな風にされてしまったみすずちゃんに、これ以上の過酷な宿命を与え続けることは出来ない・・・。


 そう判断した女神さまは、そのみすずちゃんを、別の世界に避難させることにしました。


 だけど運悪く、みすずちゃんは避難したその世界で大悪魔ルイーズと遭遇してしまったのです。


 勇者の力で相手が邪悪な存在であることを感じ取ったみすずちゃんは、大悪魔ルイーズと戦う選択をしました。


 だけどみすずちゃんの心は、異世界の魔王に植え付けられた大いなる恐怖に支配されていました。


 つまり、大悪魔のことがとっても怖くてたまらなかったの。


 だからほとんど抵抗することすらできず、勇者であるみすずちゃんは簡単に大悪魔ルイーズに敗れ去り、一方的にいたぶられてしまいました。


 大悪魔ルイーズははじめ、みすずちゃんの勇者の力を全部奪ってしまおうと思いました。


 彼にとってその女の子は、あまりに弱すぎて戯れにすらならない相手だったからです。


 だけど彼は、大悪魔らしい残酷なことを思いつきました。


 それは、まだ経験の浅い部下の魔物たちに、繰り返し『勇者狩り』を経験させることでした。


 勇者狩りを経験をさせることで魔物たちを育てると言う目的と、魔物たちのストレス解消。


 一石二鳥の作戦でした。


 みすずちゃんは大悪魔ルイーズに家畜のように飼われて、若い魔物たちの『勇者狩り』の獲物にされてしまったのです。


 そして魔王の足元にも及ばないザコの魔物たちに、繰り返し何度も何度も狩られてしまったのです・・・。


 ルイーズは部下の魔物たちに、みすずちゃんにどんなひどいことをすることでも許しましたが、殺すことだけは決して許しませんでした。


 次の『勇者狩り』を楽しみに待っている若い魔物たちがたくさんいたからです。


 そして王国から『勇者募集』のお触れがだされたとき、大悪魔ルイーズはみすずちゃんからほんの少しだけ、勇者の力を奪いました。


 勇者の力なんか無くても強大な力を持ったルイーズですが、『6人の勇者の卵』の中に紛れ込むためには勇者の力が必要だったからです。


 でも、勇者の力はほんの少しで良かったんです。


 だから、みすずちゃんは今も勇者の力をすべて奪われたわけじゃありません。


 だけど、それは絶望でしかなくて。


 みすずちゃんは今も大悪魔ルイーズに飼われて、惨めな『勇者狩りの獲物』として生かされているのです。


「もう許して。絶対逆らわないから、お願い、もう勇者狩りだけは・・・」


 みすずちゃんはルイーズに、必死で哀願しました。


 もう勇者の威厳なんてありません。


 ただ、助かりたい。


 その一心でした。


 でも、残酷な大悪魔がそんな事を許してくれるわけがありません。


「ふうん・・・でも、ボクとしてはどんどん逆らってもらった方が楽しいから、やめてあげないよ」


 そう言って、ルイーズはにっこりと笑いました。


「・・・や・・・いやぁ・・・」


 みすずちゃんの表情は絶望に沈みます。


「それに、今日も勇者を狩りたくてうずうずしてる魔物がいるんだ。彼らの楽しみを奪っちゃうなんて、そんなひどいことボクにはできないよ」


 そしてルイーズの後ろから、今日の順番を待ちに待っていた魔物たちが現れると、みすずちゃんは恐怖のあまりおしっこをもらしてしまったのです。


 本当はきちんと習っていて型もできているはずの剣を、無茶苦茶にブンブンと振り回すだけのみすずちゃん。


 完全に恐怖に支配されてしまった心では、勇者といえどもまともに魔物と戦うことなんて出来なかったのです。


 そしてまた今日も、一方的な『勇者狩り』の宴がはじまるのです・・・。


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