3.6人の『勇者の卵』
まだ小6だから子どもといえば子どもなんだけど、なんていうか女の子としてちゃんと出るべきところは出始めているし、出てちゃダメなところは出てないし・・・何より、女の子になったわたしから見て、一言で言うと憧れの存在、って感じだ。
ホントはセリカはわたしにとって、守るべきの存在のはずなんだけど・・・。
あと、6人の中で一番勇者様らしく見えるのも、ひいきなしに見てセリカだった。
かっこいいライトブルーのビキニタイプのアーマーに、白のプリーツスカート。
一見防御が薄そうなお腹の部分は強度がものすごくある、キラキラ輝くなんとかいうクモの糸が縫い込まれているらしく、薄い布に見えるのに下手なチェーンメイルなんかよりずっと防御力が高いらしい。
おかっぱっぽい髪の両サイドに小さな三つ編み、っていうのもなんかステキ。
これってかわいい女の子にしか似合わない髪型だよね。
そしてセリカには、すごく似合っていると思う。
それに比べてわたしは・・・。
学校指定のごく普通の地味な紺色のブルマと体操服。
要は、うごける格好の服っていうのが他にないのだ。
うーむ、格好悪い・・・。
あと、素の顔とかは(男だった前世の自分から見た女の子の美的基準をたどると)かなりかわいい部類には入る、とは思うものの、おしゃれをしようという意識がたりなすぎるという自覚があるのだった。
何といっても女の子歴わずか6年。
男子での生活がそれより何倍も長かった(そしてその記憶がある)せいで、要は女子力が圧倒的に足りないのだ。
髪は男子と区別がつくように多少伸ばしてはいるものの、ツインテ、というにはあまりにも短すぎる『無理やりツインテ』。
そして、リボンを付けてはいるものの、それもおしゃれのつもりではなくて、単にこのリボンがお気に入り、というだけのことだ。
ちなみに、わたしとセリカ以外の4人は、学年が下の方から順に、2年生でわたしと同じ戦士系のマリアちゃん、格好もわたしと同じ体操服にブルマだけど、ブルマの色は体育の授業では禁止されてるピンクで横にラインが入っているものだ。
髪は肩につくぐらいの長さのちょっと横に飛び出した感じのツインテ。
ツインテってホントはこうだよね。
実物を見てやっとわかった。
わたしのツインテは『ニセモノ』だ。
マリアちゃんは、ちょっと元気な感じのかわいい女の子だよ。
3年生が唯一の男子のルイス君。
真っ黒な燕尾服に、ステッキ風の仕込み杖。
剣も魔法も使える、って言うタイプだ。
結構なイケメン男子だけど、相当な自信家で、人を見下した感じの所があるから私としてはちょっと苦手な感じ。
4年生はマリアちゃんのお姉さんでレミアちゃん。魔法タイプで格好もいわゆる魔法少女って感じだけど、ちょっと口数の少ない子。
上はふわっとした感じでドレスっぽくなっていて、下は柔らかそうなミニスカート。
服の全体は赤っぽい色でまとめていて、髪の方はオーソドックスなポニーテールだ。
そして最後の一人が5年生のエミュリさん。
髪は白のカチューシャをつけ、ちょっとソバージュのかかったセミロング。
格好はいわゆる騎士の鎧をドレス風にアレンジしたものだ。
騎士なんだけど基本的には魔法の方が得意らしく、とはいえ剣のほうも心得はある、といったところ。
強力な魔法が使える騎士、ってことは、戦場では旗印になれる感じかな。
美人でプライドも高いお嬢様タイプだ。
そして、わたしたち6人はひとつの部屋に集められ、王国のベテラン騎士から説明を受けた。