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9.他のみんなにごあいさつ【マリアちゃんとレミアちゃん①】

 その後、わたしは他の4人にも順番にあいさつに行くことにした。


 セリカに買ってもらった勇者様の装備は明日の本番までまだ温存。


 つまり、ブルマと体操服で行くって事だ。


 わたしはセリカ以外の他の子たちも、どのくらい勇者様に相応しいのか、自分でちゃんと確認しておきたいと考えていた。


 もちろんセリカが一番だって思っているし最後まで勝ち残るのもセリカだと思ってるけど、それは絶対じゃない。


 他の人が勇者として魔王に挑むことになるかもしれないから、っていうことだ。


 それを確認しておくのは、前の勇者としての責任、っていうかな。


 なんとなく、そんな気がしていたのだ。


 残りの4人の中で、男子のルイス君やプライドの高そうなエミュリさんはわたしとしてはちょっと話しかけにくいと言うか、苦手なタイプだ。


 だから次にあいさつしにいくのは迷わず、マリアちゃんとレミアちゃんの姉妹に決めたんだ。


 他の子たちはみんな1人部屋だったけど、2人は同じお部屋だっていうのも行きやすい条件。


 一度で2人とのあいさつがいっぺんに終わるからね。


 2人のお部屋は、鍵はかかっていなくて、それどころかちょっとだけだけど扉が完全には閉じてなかった。


 ただ、いくら扉が空いてるからって勝手に入って行くわけにはいかないから、わたしは扉をトントンとノックした。


 でも、返事はない。


 それからもう一度、今度はもうちょっと強くノックするけど、それでも返事はない。


 おかしいなあ。


 絶対いる気配があるんだけどなあ・・・。


 気配って言うか、明らかになんか物音がしてるし、声みたいなのも聞こえて来てるんだけど・・・。


 このままじゃらちが空かないし、かといってもっと強く扉を叩いたらケンカを売ってるみたいに思われちゃいそうだから、仕方なくわたしは扉の隙間から中をのぞいてみることにした。


 そしたら・・・。


「魔法少女ミラクルレミアちゃん!参上!!」


 そう言って、かわいらしいポーズを取るレミアちゃん。


 喜んで手をたたく妹のマリアちゃん。


 そして、それをのぞき見てしまったわたし・・・。


 一瞬・・・ううん、本当はもうちょっと長く、沈黙。


 ・・・あ、ポーズを決めたままこめかみのあたりからタラ~っと冷や汗を垂らすレミアちゃんと目が合っちゃった。


 わたしも、それにレミアちゃんもほとんど同時にゴクッと唾を飲み込む。


 それから、レミアちゃんは無表情のまま、固まっているわたしの方に歩いて来て、わたしの手をグッとつかんで部屋の中に引っ張り込んで、バンと扉を閉めてしまった。


「み・た・わ・ね!」


 う・・・レミアちゃん、こわい・・・。


「あの・・・見るつもりはなかったんです・・・」


 わたしは思わずたじろいでしまう。


「見・た・の・ね!」


 ひっ・・・


 レミアちゃんさっきとちょっと言い方変えた・・・。


「見え・・・ちゃいました・・・」


 レミアちゃんには、うそを言えない迫力があった。


 こわい・・・。


 わたし、どうなっちゃうの!?


 と内心怯えてたら、レミアちゃんは大声で


「もう!だから恥ずかしいからやだっていったのにっ!」


 って言って、わたしじゃなくてマリアちゃんを責め出した。


 けどマリアちゃんはこんなことを言い出したんだ。


「お姉ちゃん、大丈夫だよ。魔法少女ミラクルレミアちゃんのことは絶対ばらしたらダメな秘密だから、正体を知っちゃった子は魔法で動物にかえちゃうんだよ。この子はかわいいから、ウサギさんにしちゃおう!」


 ええええええええっ!?


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