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40 警察署

 自宅を後にした後、初音を乗せた俺たちのバスは一旦、警察署へと向かった。

 警察署には、警棒や拳銃などの武器が豊富だ。

 特に飛び道具である拳銃は、今後役にたつかもしれない。

というわけで、いくつか失敬しておこうと思った。


「ここか」


その警察署は、町で一番大きな警察署だった。

バッグを持ち、皆で警察署に入る。


 散策していると、警官のゾンビと何体かすれ違ったが、死霊術を使っているため襲って来ない。

 悠々と署内地図を確認しながら目的の場所へとやって来る。


「えーと、ここかな?」


 「武器庫」というプレートがかかったドアの前で、俺は呟く。


「えーと、鍵は……当然かかってるよな」


 ガチャガチャとドアノブを回すも、開く気配は無い。


「ふーむ、ここもバスセンターの時みたく、そこら辺のゾンビを使って‥‥」

「(アキラ! 私にやらせて!)」

「え?」


 横からひょいっと出てきた初音が、ドアノブに手をかけた。


「(むむむ……)」


ちょっと初音が力をかけると、ドアノブがバキッと音をたてた。


「(はいっ、開いたよアキラっ)」

「おお、すごいな初音。ありがとう、助かったよ」


 褒めて褒めてとアピールする初音の頭をぽんぽんしてやる。


 後ろでは結衣と高瀬が唖然としていた。


「初音ちゃん、いつの間にこんな力を……」

「あー、いや、若干ゾンビになってるから、力のリミッターみたいなのが外れてるみたいなんだ」

「ええ、そんなのがあるんだ」

「うん。だから、もしゾンビに襲われた時は力で抵抗は無理だと思うから、服を破いてでも逃げるしかないな」

「ふ、服を破くって……そんなこといきなり言わないでっ」


 不意打ちをつかれたかのように高瀬が顔を赤くして自身の胸をかばった。

 真面目なことを言ったつもりなのだが。


「わー! 見て見てお兄ちゃん! 拳銃だよ!」


 妹の結衣が「武器保管庫」と書かれたロッカーから、ホルスター入りの拳銃を見つけ出してきた。


「おお、どれどれ」


 ホルスターから手に取ってみたリボルバー式の拳銃は、重みといい質感といい、本物そのものだった。


「五丁あるな。これくらいあったらいいか」

「ねえねえお兄ちゃん! 試しに一発撃ってみてよ!」


 結衣が、興味津々といった瞳でそんなことを言ってきた。


「ふむ……一応、もしもの時にモタモタしないよう、演習しておいたほうがいいか」


 というわけで、武器庫のすぐ隣にある射撃場に移動する。

 射撃場は、ボーリング場のようなレーンの先に的があるような仕様になっていた。


「(アキラが撃つところ、早くみたい!)」

「はいはい、待ってろ」


 やや緊張するが、人生で初めて撃つ銃に好奇心が芽生えていた。

 ずしりと重量感のある拳銃を的に向ける。


「アキラくん、かっこいい……」


 銃を構える俺を、高瀬はそう評した。


「いや多分、銃補正かかってるだけだぞ」


 そう返しておく。


 一回息を吐き、集中して的に狙いを定め、引き金を引いた。

 右腕にかかる大きな衝撃と共に、耳を劈くような金属音が射撃場に響き渡った、


「わわっ」

「うう、耳がキーンってなるよ……」

「(わー! すごーい!)」


 あまりのうるささに、俺は思わず顔をしかめる。

 すると。


「アキラくんすごい! 真ん中に当たってる!」

「すごーいお兄ちゃん! こんな才能持ってたの!?」


 囃し立てる高瀬と結衣。

 見ると、的のど真ん中に穴が空いている。


 狙ってはいたけど、まさか当たるとは思っていなかったので俺は驚いた。


「(さすがアキラだね! これで、皆に何かあった時にも守れるね!)」


 初音が嬉しそうにそう言う。


「まあ、できれば使う機会はあってほしく無いけどな」


 そう呟きながら、暴発しないよう慎重に四丁の拳銃をバッグに入れた。

 残りの一丁は念のため弾を入れた状態でホルスターにしまい、腰に提げる。


「よし、じゃあ戻るか」

「うん!」

「(行こう行こう!)」


 俺たちは警察署を後にした。


◆◆◆


 警察署を出て、バスでショッピングモールへと移動する。


 バスの運転もだいぶ慣れた。

 俺は運転しながら、初音と会話していた。


「(ねえねえアキラ! たしかショッピングモールには、咲良ちゃんもいるんだよね?)」

「伊藤のことか。もちろんいるぞ」

「(えへへ~、久しぶりだから楽しみだな~)」

「伊藤と仲よかったのか?」

「(うん! よく本とか貸してもらったよ!)」

「なるほどね」


 鼻歌を歌いながらニコニコしている初音。

こうして一緒に暮らせるなことになって嬉しいのだろう。

もちろん俺も嬉しかった。


「楽しそうね、初音ちゃん」


 ご機嫌な様子の初音を見て、高瀬は頬を緩めていた。


「ありがとうな、高瀬」

「え?」

「初音のこと、受け入れてくれて」

「そんなのいいよ。初音ちゃんは私の大切な友達だし、それに‥‥」

「それに?」


一拍置いて、高瀬は言った。


「アキラくんも、初音ちゃんと一緒にいたいでしょ?」

「それは、まあ……そうだね」

「それなら、絶対に一緒にいてあげたほうがいいよ」

「たしかにな……」


これからは、昼間、高瀬を1人にしなくていいと思うとよかったと思う。

やっぱり好きな人とはずっと一緒にいたいものだ。

 

そんなことを考えている折に、初音が叫んだ。


「(アキラっ)」

「ど、どうした、初音?」

「ちょっと離れたところで今、生きてる人達の中にゾンビがいる」

「えっ!?」


心臓を握り潰されたかと思った。


「ど、どうしてそんなことが分かるんだ?」

「(んー、わかんなけど、そう遠くないところにいるゾンビが、たくさんの餌が見つかったって喜んでるのを感じたの)」


ゾンビ同士には、仲間同士で共感能力みたいなものがあるのかもしれない。

少なくとも、初音はこんな嘘をつくような子じゃない。

つまり、初音の言ったことは真実。


 そう遠くない場所、たくさんの餌。

 

その二つのワードが、俺から血の気を引けさせた。


「ど、どうしたのアキラくん? 初音ちゃん、なんて言ったの?」


そう高瀬が訪ねて来るや否や、俺はアクセルを踏み込んだ。


「きゃっ、いきなりどうしたのお兄ちゃん!?」

「みんなが危ないんだ! とにかく急がないと!」


皆、どうか無事でいてくれ!


 祈りながらバスを飛ばして、皆のいるショッピングモールへと全速力で向かった。

毎日更新で駆け抜けています。最後まで駆け抜ける予定。

面白かったらブクマ・評価で応援していただけるとすごく嬉しいです。

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