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18 屋上到達

 俺と高瀬は妹の女子中に着いた。


「石、飛んで来るかもしれないから、気をつけてくれ」

「うん」


 スライド式の門扉を二人で登る。

 手を繋いだまま片手しか使えないのに高瀬はひょいと登ってしまう。

 むしろ俺のほうが引き上げられてしまった。


「さすが全国大会。運動神経いいな」

「へへへ」


 高瀬が照れたように笑った。

 門扉の上から二人で校庭に飛び降りる。

 結構キマった感じだ。

 初音と飛び降りたら絶対コケるに違いない。アイツ、運動神経は悪くないのにドジっ子だからなあ。


「おーい! 食料持ってきたぞ」


 屋上に向かって叫ぶと、


「一緒に連れてきた子は誰!?」


 予想通りの反応が返ってきた。


「初音ちゃん?」


 妹の声だ。昔は初音もうちの家に遊びにきていた。

 妹と会話が許されるぐらいには信用されるようになったようだ。


「いや、初音じゃない。同級生の高瀬だ。皆も見てくれ。俺の近くならゾンビにも襲われないだろ?」


 屋上に影がパラパラと増える。

 こちらを覗き込んでいるんだろう。


「ともかく、食料を大量に運ぶために高瀬にも手伝って貰うことにしたんだ」


 本当の目的は高瀬に屋上に行って貰って状況を見てきてもらうことだが、ともかく信用されなくてはならない。

 二人で持ってきた物資をロープで上げさせた。

 少なくない感謝があった。交渉できるかもしれない。


「なあ! 高瀬は女だし、屋上に行っても良いだろう? 必要なものを詳しく調べたり出来るぞ」


 しばらく待っていたが、返事はダメというものだった。


「なんでだよ? 高瀬だけだ」


 丸まった紙が飛んで来た。

 開いて高瀬と一緒に顔を寄せてみる。


「妹の文字だ」

「妹さんの?」

「ああ……」


 書かれていたのは、高瀬を屋上に入れるにはゾンビ対策に扉前まで俺も一緒に来ないといけないから反対する人がいるとのことだった。


「じゃあさ。ゾンビを下げて私だけ行けば」


 高瀬が提案してくれたが……。


「俺が近づいてないって向こうが信用しないんじゃないかな」

「学校ごとゾンビを移動させるのは? そうすれば私だけが上に行って、その間アキラくんは校庭に居れば良いんじゃないか?」

「学校ごとは無理かな……」

「そっか」


 なにか他の方法はないだろうか。

 高瀬が手をたたく。


「屋上の下にも教室あるよね。教室をバリケードすればしばらくはゾンビ相手に保つかな」

「まあしばらくは大丈夫さ」

「よし! ならホームセンターに行こう」

「どういうこと?」


 高瀬が叫ぶ。


「ねー! また食料持ってくるから待っててね~!」

「お、おい」

「いいからいいから。コンビニとホームセンターに行こう」


 ホームセンターに着いた。

 高瀬はなにか探しているようだ。

 ま、まさか。


「チェンソーでゾンビを……殺るのか?」


 確かにチェンソーも売っている。

 血だらけの高瀬がチェンソーを持って仁王立ちしているイメージが浮かぶ。正直、ちょっと似合いそうだ。


「ち、違うよ。あった!」

「え……? これは?」

「へへへ」

「で、でも危ないんじゃないか?」

「大丈夫だよ。今日は天気も良いし風もないし」


 中学校に戻る。


「また食料を持ってきたぞ」


 ロープが下りてくる。

 リュックサックを結びつけた。

 しばらくすると屋上から声が聞こえてきた。


「これはなに?」

「それは……」


◆◆◆


 学校の教室の三階に簡易的なバリケードを作る。


「後は俺が出ていってから釘で戸を打ち付けてくれ。しばらくはゾンビを入れないと思う」

「うん」

「でも結構危険だぜ。ゾンビもそうだけどさ」

「大丈夫だよ。それに、アキラくんの役に立ちたいから」


 力強くそう言ってくれる。震えも今はないようだ。


「わかった。頼むよ」

「うん!」


 俺は教室を出て走って校庭に出る。


「おーい! 俺は校庭に戻ったぞ!」


 すると屋上からするすると縄梯子が下りてきた。

 アレがホームセンターから持ってきたものだ。

 しかし、一番下までは届かない。

 二階の教室ぐらいまでだ。

 ところがその教室の窓から人が身を乗り出して縄梯子を掴んだ。

 すっと縄梯子に移動してどんどん上に上がっていく。


「お、落ちるなよ……」


 しかし、縄梯子を登る人影はなんの問題も無く屋上にまで上がりきって手を降った。


「アキラく~~~ん」


 よかった。

 高瀬は無事、屋上にあがれたようだ。

 これで屋上の状況がわかるだろう。

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