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第八話 主人公、再びダンジョンへ パート2

*前回のあらすじ


航太たちは冒険者になることを決意し、謎の爺さんと出会う。以上!



久しぶりですね。本当は毎日更新したいけれどできないのが現状です。時間がある時に執筆しようと思っても中々アイデアが浮かばなかったしますし。簡潔に言いますと、大人の事情というのが投稿できずにいた理由ですね。


*それと、今回は下ネタ注意です。

爺さんである彼は昔、異世界から来た友人で、中国人であるマー・ハーとともにダンジョン攻略をしていた。マー・ハーは当時、最強の魔法使いと言われていた彼の次に並ぶ程の武闘家で世間一般に知られていた。そんな彼らでもダンジョン制覇は困難を極めていて、様々な壁にぶつかる。



そして、そんな父親を持つ娘も父親の背中を見るだけでは足りなかったのだろう。若くして亡くなった母親が居ない娘は父親と一緒に居たいが為に隙を見てはダンジョンに潜った。



散々ダンジョンに潜るのはダメだと彼は言ったのにもかかわらず。



ある時、一ヶ月もの間ダンジョンに潜り続けた後、家へと戻った彼はその時になってようやく気付いた。娘が居ないことに。



もちろん娘の世話を他人に任せてダンジョン攻略をしていたのが悪い。どうしようもないダンジョン馬鹿な彼だった。その頃からダンジョンに行く度に娘を捜すも見つからず。そうこうしている内に八十二歳。何十年もの月日が流れ、いつしか彼もう爺さんになっていた。



魔法は使えるが、足腰がしっかりしていない。

彼の古き友人、マー・ハーも既に亡くなっている。そして彼が他の人にも娘を捜すように頼んだがそれでもなお見つからない。その理由は彼から受け継いだ魔法の才能にあったのだろう。



もしかしたら彼自身より強いかもしれない。それ程恵まれていた娘だった。だからダンジョンの上層部を探しても見つからない彼女は恐らくダンジョンのかなり深くまで進んでいる筈だと彼は推測した。



◆ ◇ ◆


「じゃあ、君にダンジョンの地図を教えてやるよ!」



「ありがとう!」



その時爺さんがポケットから携帯を取り出した。



『アッアッアッアッ! イーー』



爺さんは即座に電源を切った。



「すまぬな。ちょっと女性の研究をしてて」



爺さんは笑顔を見せて誤魔化してるけど絶対AVだったぞ、それ。



「あ、ああ。女性の研究は大事だからな。えーっと、それでダンジョンの地図は?」



「ダンジョンの地図は少し待ってくれ。今、携帯が混乱していてね」



というか、今更だけど異世界に携帯あるとか。今の時代、異世界って結構科学が発展してるんだな。よくある中世ヨーロッパ風とかじゃないし。



「よし、これがダンジョンの地図だ」



「ーーん?」



「何だ、何かおかしな点があるのか?」



「いや、違うけど、この携帯ってまさか『ミーフォン九?」



「そうだ。君、よく気付いたね」



「『ミーフォン』ファンなのですぐ分かったよ。まだ発売されてもいない商品が既にあって、ますます異世界の謎が深まってる感が……」



「君も『ミーフォン』持ってるのか?」



「いや、『ミーフォン』は持ってない。貧乏なんで携帯すら持ってません」



「そうか。なら携帯一個ぐらいならあげるよ」



「マジで?」



「そうじゃよ。君を信じることにした証拠としてだ」



まさかの携帯ゲット。念願の初の携帯。それに『ミーフォン九』。これは勝ち組ーー



「あ、そうじゃ。勘違いしないように言うが『ミーフォン九』はあげないよ。代わりにコレをあげる」



そう言ってもう片方のポケットから取り出したものは耳らしきものだった。



「ギャァァあああう! え、耳がーー」



「おっ、リアクション芸人じゃな。その反応好きじゃぞ」



「耳、じゃ、ない?」



「耳型携帯じゃよ。試しに今付けてみるかい?」



「じゃあ、お言葉に甘えて」



恐る恐る、あまりにもリアルな耳型携帯に戸惑いながらも付けてみると、耳型携帯自身がウィーンという音をだし、微調整を行い、見事自分の耳にフィットした。



「それに棒が下方向に一本生えてるじゃろ? それに話しかければ相手に声が聞こえる仕組みじゃよ」



なるほど。この調子だともっと凄い発明とかありそうな予感。下手したら元の世界の方が科学の発展が遅れてる可能性もあるな。



「質問だけど、これってどうやって連絡先を登録できる?」



「なーに、簡単なことだ。耳型携帯の後ろに画面が付いてあるから、そこから登録すればいいんじゃよ!」



「スゲェとしか言えない」



「そうじゃろ? この世界の技術は急速に進歩してるからのう。もっと他にも見せたいものがあるんじゃが、娘が心配だからな」



「あ、娘さんね。何年前からいなくなったんですか?」



「五十年ぐらい前だったような。結構昔のことじゃな」



「五十年も⁉︎ それは見つからない気しかしないけど頑張るよ」



「まぁ、気をつけてダンジョン攻略をするんじゃぞ。因みにワシの連絡先は登録してある。それと、有力な情報を教えてやる。そのダンジョンの地下五階には宿屋がある。寝場所に困っているのならそこに寝ることじゃな」



「ありがとう! その情報はホントに助かる!」



「お安い御用じゃよ。因みに名前は何だ?」



「航太」



「じゃあな、航太!」



次の瞬間、爺さんは消え、周りの人たちが意識を取り戻し始めた。



「おい、ジジイ! 消えやがったな! クソ!」



「あの野郎! 許さんぞ」



「ジジイィィィ! 俺にチート能力くれよぉぉぉおお!」



周りがまたうるさくなり、『ジジイィィ!』と叫ぶ者が続出した。そんな中、エニアに続き、シンディーがこちらに向かって来た。



「あ、いましたね! ずっと探してましたよ」



シンディーは笑顔を見せた。



「ウィーン、ウィン。エニアだよ」



エニアは飛行機の真似をしながら走り回る。なんか可愛いよ。



「あれ? アラベルは?」



「あそこで寝てますよ!」



アラベルは大きく足を開き、口を開けながら静かに寝ていた。



「おい! 起きろ! 起きないとチューするぞ?」



俺はアラベルに近づき、数回ビンタをする。



「な、や、やめろぉぉぉお! ーーえ?」



「また服が無くなって連行されても知らんからな?」



「悪かったよ。みんなが倒れたから僕もノリで倒れて寝てるフリしてたらーー」



「寝たのか」



その後、無事に俺たちは例のダンジョンに着く。そして、看板を見ると案の定、何が書いてあるかサッパリ分からない。すると、シンディーはこう発言した。



「何ですか、あの看板。全く面白くないです」



「どうした?」



「田中の洞窟っていう名前が面白くないです」



「田中の洞窟?」



「そうです。それがこの洞窟の名前。ある説によると、田中ジョンという人がこのダンジョンの第一発見者ですので」



「ねぇ、あそこにエレベーターあるよ!」



エニアはそう発言し、ある方向を指差す。



「どこ?」



「あれ!」



嘘だろと思いつつエニアが指差した方向を見ると、土でできた両壁のうち、左壁が少し掘られた所があり確かにエレベーターがあった。



「この世界のダンジョンはどうなってやがる⁉︎」



「僕も驚くほど最近近代化が進んでるからね」



アラベルも声色からしてかなり驚いている様子が感じられる。



「最近噂で聞いてましたけど本当だったことに驚きです」



「そういえば、とある爺さん情報によると、このダンジョンの地下五階に宿屋があるらしいからまずはそこに行かないか? 安いかもしれないし」



正直シャワー浴びたいし、眠たいから宿屋に行きたい。



「そうなんですか。それなら私たちは行きますよ。眠たいよね、エニアちゃん?」



「ううん。遊びたいの!」



「ダメですよ? しっかり寝なければいけませんからね」



「そうだよ。一緒の部屋に寝ましょうか、エニアちゃん!」



「おいアラベル、一言蛇足だぞ!」



俺たちはエレベーターに乗り、地下五階へ行くと、小さな街がそこにはあった。



「うぉお!」



「綺麗ですね」



「さすが近代化が進んだだけある」



「わぁあああい!」



ここは天井からの光がないせいで上の方は暗いが、地上は街灯がそこら中にあるおかげで十分に明るい。

店も数店舗あり、比較的賑わっている様子が伝わる。



辺りは自転車を利用する人が地上よりも多いように感じる。



今のところ、車やバイクは見ていないが、ホバーボードやローラースケートを使用している人は少なからずいる。



「アメリカ感ハンパねーや。行ったことないけど」



「アメリカ……ですか。聞いたことないです」



「あー、異世界にあるよ。俺もあんま知らんから別に気にしなくてもいい」



「ふーん、異世界にもこんな場所があるんですね。とても興味深いです」



「僕もアメリカ行きたいなぁ、とはいつか思っていたよ。今はこの光景を見れるだけで十分だけど」



「エニアちゃん、はぐれないように手を繋ぐんですよ? 」



「はーい!」



何の変哲もない宿屋に入ると、そこにはまぁまぁな美少女店員が五人いた。うんうん、目の保養になる。



「なーに突っ立ってるんですか、航太さん! 人の邪魔になりますよ?」



「あ、ごめん。今ちょっと英気を養ってて」



「じゃあ、その間に部屋分けは僕が決めるよ」



「「ダメ!」」



エニアちゃんも嫌そうな顔で小さな指を使い、バツサインを作っていた。



「ほら、エニアちゃんも嫌がってます!」



「分かりましたよ。今回はシンディーさんに任せます」



シンディーさんはエニアと一緒にカウンターで今夜の部屋を決めている最中、俺たちはとある事を聞いた。



「アラベル、いつになったら例の金返せる?」



「例の金? あー、情報屋の爺さんに奪われた金ね。ある程度稼げたらっていうぐらいに」



「シンディーさんに毎回払わせていいのか?」



「紳士としてやはり心が痛いけど、仕方ないものは仕方ない」



「俺はぶっちゃけハーレムを築きたいが残念ながら俺TUEEE主人公ではないんだ。もし、俺のハーレムを築くのに手伝うのなら金を返さなくていい。どうする?」



アラベルは少し悩み、やがて決断した。



「分かったよ。手伝うけど僕のできる限りで。無理はしないとだけ言っておく」



「じゃあ、約束だな!」



俺とアラベルは握手した。



そして、俺はアラベルの顔を見た。普通に笑顔だった。何かを言おうとしているようだけど何も発言しない。



おい、どうした? ここに来てコミュ障発動か? うっ、ブーメラン。俺もまたその一人か。



それにしてもお前イケメンのくせにコミュ障かよ。彼女いない説浮上したな。



うっ、またブーメランが。

あぁぁぁあ、なんで黙る。お前なんか喋れよ。






あ、特大ブーメランだったわ。



こうして一分間に及ぶ沈黙が流れた。



「お待たせ! 302号室が航太たちの番号です」



「ありがとう!」



「えーっと、気になることがあるんですが」



「全然聞いていいよ」



「何でそんなに気まずい空気なんですか、二人とも?」



「あ、いや、何でもない。気のせいだ」



「いーや、何かありますね、きっと。別にいいですけど。それでは、おやすみなさい!」



俺とアラベルも「おやすみ」と言い、302号室へと向かった。



「ーーん?」



すると、廊下でまさかの意外な人物と出会ってしまった。意外な人物といえばアイツしかいない。初キスの相手、あ、あれ? 名前が思い出せないけど? まぁ、最高に可愛い奴だから顔だけは覚えてる。うん、ツンデレ金髪美少女だ。(作者もリアルに名前忘れてました。テヘペロ!)



「ーーえ、航太なの⁉︎」



そっちは名前覚えてるのか。何か怒ってるようだけど。



俺はとりあえず笑顔を見せる。



「あんたのせいでどれだけ悲惨な目にあったか分かってる? あー、もう黒焦げにするわよ?」



手の平に小さな炎の球が生成された。



「え、冗談だよな? そんな悪いことした記憶もないし」



「ちょっと待ってよ、リリアちゃん! あの小柄な少年に何もしなくてもいいじゃん。どうせどっかで死にそうだし」



酷っ! いくら赤髪で美人だからって初対面の相手に言う言葉ではないんだけど。



「分かった。実際イリスの言う通りかもしれないしね。勝手に死ぬの待ってるよ」



やーめろーよ、いい加減に。



「で、少年の隣に立っているイケメン君は誰?」



「ちょっと待って! ホントに言ってるの?」



リリアはイリスを引き寄せ、誰にも聞こえないように何かを言った。



「じゃあ、私はこれで!」



そのまま彼女は自分の部屋へ戻って行く姿を眺めた。



「申し遅れました、アラベルです。明日から冒険者としてここのダンジョンを攻略します」



「アナタいいねぇ、いつか結婚したいと思ってたし、ダーリン!」



「ダーリンですか。やめときます。僕には嫁がいるので」



嫁ってまさか⁉︎ いや、何でもない。エニアの事かもしれないし。



「む、やっぱり女がいるのね。まぁ、いい。無理やり奪ってしまえばいい話ね」



「お断りします!」



「いいえ、アナタの妻は私よ!」



「お断りします!」



「私の妻になるなら胸揉んでもいいのよ? 男は胸が好きなんだし、ほら!」



イリスはワザと胸を揺らす。プリンのように揺れる胸に思わず目が釘付けになってしまうが、アラベルは全く反応しない。



「貧乳派です!」



「巨乳の方が良いのよ。柔らかいし」



「貧乳はステータスだ! 希少価値だ!」



出たよ、その言葉。



「巨乳の方が人数が少なくて希少なのでは?」



「うっ、確かにその通りかもしれない。それでも……貧乳派という意見は変わらない。航太はどう?」



いいぞ、いいぞ。なんか燃えてきたよ。実はこういうバトルを待ってたりするのが俺。



「俺は美乳派だ。大きすぎず、小さすぎず、程よい感じに美を感じれるのが良い。要はバランスが大事。何事もバランスが命っていうし。美乳は芸術作品と言っても過言ではないと思うのが本音。逆にそれ以外は美という観点でいえば少し違ってくる。巨乳についてよく聞くのは『胸が大きければ大きい程夢がいっぱい』などといったもの。もちろん否定はしない。でもこんな疑問が生じる。その夢とは一体なんだ? 理由が曖昧すぎる。次に貧乳派の意見としては『胸が小さいことを気にするのが可愛い』といったもの。これには俺も賛成せざるを得ないが、だからといって貧乳がいいのかと言われると正直微妙だ。もし、胸が小さいことを気にしない人がいたらどうだ? 貧乳派の人はもっと明確な理由を提供して頂きたい。そして最もよく聞くのが『貧乳はステータスだ! 希少価値だ!』というもの。これに関しては一度深く考えて欲しい。貧乳は希少価値か? いいや、よくよく考えたら貧乳なんて巨乳より多いじゃないか、ということに気づいてしまう。つまり究極の……」



「アラベルくん。私はなんとかしてアナタを奪うから待っといてね。おやすみ!」



人の話最後まで聞いてないし。ごめんぐらい言えよ。赤髪のイリス。もう部屋入っていったわ。



「航太、さっきの話だけどよく考えたら貧乳は希少価値じゃないな。気付かせてくれてありがとう。別の理由を探すことにするよ」



「ああ、あれは別に大したことでもない。初めて聞いたときからずっと思ってたことだから」



「それじゃあ、風呂入るか! 続きはそこで!」



「おっけー」



俺とアラベルはそこでじっくりエロティシズム(エロの哲学)について語り合い、距離が少しばかり近くなった。



翌日、目が覚めるとなんと美少女のリリアが……なんていうのは嘘でアラベルが俺の上にズッシリと乗っかっている。ベッドが二つあるのにも関わらずだ。



「どけ、どけ! 重い、重い過ぎるわ」



「エニアちゃんか? 大丈夫、そんな重くない。気のせいだよ」



上半身にアラベルがいる為、中々動きづらい状態。そんな中、横の壁には名前を言ってはいけない例の黒い生物が。



「アラベル、G! Gおるぞ! 緊急事態発生!」



「G? ゴキ・ブリオか。気にする必要なんてない。エニアちゃんは僕が守るよ!」



ゴキ・ブリオが少しずつ、俺たちがいるベッドへ近づいてきた。



「おい、いい加減起きろよ! ゴキ・ブリオが……」



その時、誰かがドアをノックし、そのまま入ってきた。



「どうしましたか⁉︎」



メイド服を着た女性がモップを手に、俺たちを見ていた。



「ゴキ・ブリオさんが、いや何でもない。悪夢を見ていただけ大丈夫です、はい」



「そう……ですか。失礼します」



彼女は無表情のまま部屋から出て行った。恐らく勘違いしてる。今更出て行った後では遅いしいいけど。



と、そんな事はどうでもいい。今気付いたらゴキが行方不明に。



「んっと。そろそろ起きるか! ダンジョン攻略の準備をしなければならないし」



「やっとか。早くここから出よう!」



できるだけ冷静を装い、中身は空っぽの葉っぱリュックを背負った。



アラベルはベッドの下に隠していた短剣を引きずり出し腰に装着した後、扉を開ける。



案の定、アラベルは誰かとぶつかった。昨日アラベルを自分の夫にすると言っていた女性、イリスだ。


「痛! おはよう、未来のダーリン!」



「おはよう、おばさん!」



次の瞬間、イリスはアラベルを押し倒した……だと。



「私、全然おばさんじゃないのが分からない? 私は本気よ。少しイラッとしたけど」



「あー、そうなんだ。ごめん。それと退いてもらえるかな? ゴキ・ブリオがいるよ?」



「ゴキ・ブリオ?」



何のことか分からないと首を傾げるイリスのすぐ側を例の生物が通る。



「きゃぁぁぁああああ!」



ゴキ・ブリオ、よくやった! イリスが素早く部屋から退出して頂いたことによって平和が訪れた。このままだとちょっと危ない雰囲気だったし。









「で、よく寝れましたか?」



シンディーさんが少し眠たそうな顔でそう聞いた。



「うん。十分満足できた感じ」



「僕、いい夢見れましたしね」



「その視線怖いのぉ。わたしを見ないで!」



アラベルの視線に気づいたのか、エニアはそう言う。



「では、会計を済ませて戻って来ますので少し待っててね!」



再びエニアを連れて店員がいるカウンターへ行き、またしても二人きりになった。



「航太、今更だけどダンジョン攻略すると言っておきながら君の武器が見当たらないけど? 素手で戦うのか?」



「そこら辺に落ちてる武器拾えばいいんじゃね? なんとかなる筈」



アラベルは苦笑いをする。



「とにかくふざけるのが好きな僕が言うけど、命を落としたくなかったらもっと真剣に考えるべきだとアドバイスしておく。ダンジョンは簡単に無双なんてできる場所じゃない」



「お前強いから大丈夫なんじゃない?」



「ダンジョンは何が起こるか予測不可能だから。何かが起きても僕は知らないよ?」



「オッケー。一応頭には入れておく」



「……」



「……」









後にシンディーたちが来るまでひたすら沈黙が流れた。



「突然なんですけど、ここで働くことにしたのでお別れすることになります!」



「ーーえ?」



アラベルも驚きのあまり、無表情のままだった。



「というのも、実はーー」



要約すると、エニアをここで育てるなら手伝ってもらえるし、まあまあな給料が貰えるとのこと。



「これは悲しいな。色々と手伝ってくれて本当にありがとう!感謝してもしきれない。また会う時があったら何か手伝えたら手伝うよ」



「いえいえ。私、人助けが好きなので!」



「僕からも感謝をしておく。本当に本当にありがとう! エニアちゃんが側にいるだけで幸せな日々を送れたよ」



「あー、はい。そうですか。それは良かったです」



無表情のまま喋るシンディーさんはやはり別人に見えた。



「「バイバイ!」」



宿屋を出るまでずっとシンディーたちは手を振っていた。








「んじゃ、ダンジョン攻略するか!」



宿屋を出てすぐ近くには、少し豪華な扉のある巨壁があった。



そこにいる兵士に六階層に行くと伝えると、案の定武器について訊かれたが俺は大丈夫だと言い、やっとダンジョン攻略を開始することとなった。



追記その1ーー私はエタりませんよ。


追記その2ーー主人公が所持していた剣が消えている件についてですが、その謎については今後明らかになる予定です。

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