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第七話 主人公、再びダンジョンへ パート1

誰に叩かれたを見てみると、そこにはシンディーさんと昨日見た幼女がいて、その幼女は俺のお腹辺りにまたがっていた。



「あー、エニアちゃん! 私から離れないでー。

あの、さっきのはほんっとごめん! この子があなたを見つけたらすぐ近づいちゃって」



ビンタのことか。あれはビックリしたし地味に痛かったけど。

いや、待てよ。何で俺はこんな所に?

昨日はベッドの上にいて……気付いたらここ。

一体何があった? 瞬間移動か何か?



「んー、その子はエニアちゃん? 全然いいよ。それよりエニアちゃんがもう一人起こしにいってるけど」



「うん、そうなの。え、あ、もう、エニアちゃん!」



「わーい!」



シンディーさんのすぐ横を通り過ぎて行き、アラベルの所へ。



パチン、パチン。とアラベルにビンタをするエニアちゃん。将来はSになるのかな?



「あがっ。

何だ、痛いじゃないか。って、ああ、女神か。今日もカワイイよ。アハハ……え?」



どうやらあいつはエニアちゃんに起こされて嬉しいようだ。しかも、女神って呼んじゃってる。そして今頃このおかしな状況に気付いたか。



「ホントにごめんね! ほら、こっちに来て、エニアちゃん!」



「僕は気にしないよ。だって、ご褒美だから(キリ)」



「……」



「……」



シンディーさんはどう反応すればいいか戸惑っていた。その結果、スルーした。



その反応が正解だよ。こんな変な奴には、な。



「え、えーっと、それで、ここで何をしていますか? もしかしてお金が無くて外で寝てたりしたの⁉︎」



「いや、そんなんじゃない。実際金はないけども。なぁ、アラベル?」



突然アラベルに振ったからか、アラベルは反応に困った。



「まぁ、そうだな。昨日はとある部屋のベッドで寝て、気付いたらここだ。何かあったに違いないが詳細は不明だ」



「とある部屋とは?」



とある部屋の正体は実際のところ、不明なんだけど強いて言えば刑務所なのかな?



「僕が思うには恐らく刑務所の中だろう。何故捕まったのか、こればかりは説明が難しい。色々あったのだ」



アラベルは説明が下手だなぁ。色々って言ってもやはりシンディーさんには伝わってない。語彙力を上げるべきだな。



「色々あった……ということなんですね。そこについては追求はしませんが、そこまでお金がないとは知りませんでした。昨日の内に言って頂ければなんとかしていたことでしょう。私も何か悪い気もしますのでバイト探しの手伝いはしますよ」



「うん、そうして頂けるとこちらとしても助かる。最終手段は使用したくないので」



「ん、最終手段ですか?」



「そう、最終手段! 内容は秘密だけどね」



出たよ、カッコ付けて最終手段とか言うヤツ。この手のヤツは何も考えていないってことだな。



「なぁ、シンディーさん。本当にこの人のバイトって見つかる? 」



「え、ええ、恐らく何かしらあるんでしょう」



シンディーさんの反応からロクなバイトはないとすぐ分かった。



「おい!」




◆ ◇ ◆



(ギルドにて)




「仕事見つかりましたよー」



シンディーさんはこちらに向かって走って来た。



「ハァハァ。

残念ながらここではなく都会にありますけど。しかも冒険者としての仕事です。正直航太さんが出来るのか分からないんですが、それでもいいのなら」



冒険者? 俺が? 俺の隠しチート的なやつで無双したるぜ!!

と言いたいところだが、もしかして俺には何のチートもない気がしてきたのは気のせいか?


それは置いといて、異世界の都会かぁ。高層ビルが建ってたりするのか? いや、異世界だしそれはないか。



「この世界の都会ってどんな感じ?」



「都会ですか。えーっと、簡単に言うと、建築物で一杯の街ですかね。魔法使いもこの地域より多かったりって。あ!」



シンディーさんは口を大きく開けたまま数秒間止まる。



「え、何か思い出した?」



「都会までの移動手段はどうしますか?」



移動手段かぁ。魔法は使えないしなぁ。うーん。



「この世界にある馬車とか?」



「僕はもう歩きでいいと思うよ。それしか移動手段がない」



「わたし、自転車使いたい!」



エニアは手を挙げてピョンピョンと飛び跳ねて必死に自分の意見を主張していた。



「エニアちゃん。自転車は全然安くないですよ。むしろ高すぎます」



エニアは意気消沈したようだった。



ん、チャリ? 確かあの時もあったな。



「チャリってこの世界のどこで売ってる?」



「この地域には売ってないですね。都会には勿論ありますが」



つまりあの時のチャリは幻覚などではなかったか。



「話を戻しますが、『ダンジョン清掃員』のバイトがあればこんな面倒なことにはならなかったんですよ!」



「『ダンジョン清掃員』? 初めてそんな仕事聞いたわ」



「初めてか。しょうがないなぁ。僕が説明してやるよ。『ダンジョン清掃員』は冒険者になりたい人が最初にする仕事だね。そのバイトで資金をある程度稼いだら装備を整えて冒険者としてダンジョンで戦うっていうのが一般的。けど、最近はそのバイトを募集するとこが少なくなってきてるというのが現状だ」



お前に聞いてねぇわ、アラベル。明らかにシンディーさんに向かって言ったんだけど。で、この説明は知ったかぶって言ってるのか?



「そう、彼が言った通りですよ!」



なんか合ってたし⁉︎ それにしてもアラベルってこの世界についてよく知ってるな。ずっと前、この世界にいたんだろうか? っていう疑問が少し前からある。機会があれば聞いてみるか。



「で、仕事内容は?」



「仕事内容はモンスターの死体を破棄することぐらいかな。私はやった事がないので知らないんですけどね。というより、単純にやりたくない仕事ですので」



「なるほど。なんかその仕事は嫌。仮に俺がモンスターの死体処理ばかりしてたらモンスターにられることは間違いない。いざ冒険者となって戦うときにそのモンスターは弱いと錯覚してしまうからな」



これは例を出した方が分かりやすいかもしれない。ゴブリンの死体処理をしていたとしよう。すると最初の内は『あー、ゴブリンの死体処理メンドクセェ! でも、まぁまぁ稼げるし、楽っちゃ楽だな』となるだろう。

しかし、数ヶ月ともなるとゴブリンの死体はゴミに見え、最終的にはただの緑色の塊にしか見えなくなる。こうなるといざ冒険者として戦うとしてもゴミにしか見えないモンだからこう言うだろう。『は、ゴミが俺に勝てるとでと思ってるのか、ザ↑コ↓が! ザコの癖にーーぶほっ!』という感じになり、ゴミだと思っていたゴブリンに倒されるという事態に陥る。

最後には『俺はゴミごときにられたのか』と屈辱を味わいながら死んでしまうという悲劇も起こりかねない。これは精神の歪みにより引き起こされることだ。要するに、死体の見過ぎでそのモンスターが『どんだけ倒されとんねん! お前弱っ!』と、とてつもなく弱いモンスターに見え、実際に戦うとなると油断してしまい、そのままジ・エンドだ。分かる人には分かるだろう。

おっと、説明が長すぎたかな?




「あんまり分からなかったんですが、嫌ということですね? 実際はこのバイトで稼ぐのが一番なんですけどもね。

あ、この際言っておきますけど実はギルドで働く仕事もあったんですよ!でも、そういう系の仕事は恐らく嫌なんじゃないかなって私は思ったので最初に言わなかったです」



「うん、それで正解だよ。俺らは冒険者になるほかない!」



異世界に来たなら冒険者になるしかないっしょ!

モノは試しだしな。



「本当に冒険者でいいの、二人とも? 一応どんな能力なのかを見てもらった方がいいと思いますけど」



ワクワクするなぁ。この気持ち、久々だ。子供になったような。俺自身まだ大人でもないけど。



「どんな能力かを見てもらえる所なんかあったんか。もしかすると、俺が隠しチートスキルみたいなものを持っていたりするかもっていう希望はまだ捨てきれないし、 うん、俺はハーレムを築くぞ!」



「待て待て、それはないだろ。そんな弱そうな身体してるのに」



「これでも筋肉はちゃんとあるからな! 筋トレは毎日腕立て伏せ三回、朝昼晩一回ずつやってるし!」



「わたし、早く都会に行きたーい!」



エニアちゃんはシンディーさんの服の袖を引っ張る。



「ちゃっとだけ待ってね、エニアちゃん!」



「そうか、そうか。こんな話してる場合ではないな。まずは僕らの能力を見てもらおう。話はそれからだ」



「ごめん。俺に筋肉があるとかどうとか興味ないよな」



エニアちゃんはコクリと頷いた。



◆ ◇ ◆



(鑑定中)



「えーっと、アラベルさんの能力がこちらです」



【アラベル】


年齢:19歳


力: 876


知能: 572


判断力: 651


スキル: ロリパワー



「普通にダンジョンに行ってもなんら問題はないものだと思われます。それと、かなり力持ちなんですね。それにしてもロリパワーっていうのは初めて見るスキルです。最近は新種のスキルがたくさんあるので不思議ではありませんが」



鑑定をしてもらってる女性はすぐにメモを取り、それを書き終えるとどこか安心したように見えた。



「はい、続いて航太さんのものはこちらです」



【航太】


年齢16歳


力: 10


知能: 17


判断力: 51


スキル:なし



「すみませんが、このステータスだとダンジョンに行くのは難しいですね。力をつけたいなら筋トレを始めた方が良さそうですよ!」



アラベルはずっと笑いを堪えていたが我慢できなくなり、ついに思うままに笑った。



「ぷっ、あはは! 力はたった10しかないのによくダンジョンに行こうとしたね!僕の方が何倍も力持ちかぁ。それを聞いて安心! あははー!!」



「おい、やめろ! さっきも言ったがちゃんと筋トレはやってるし筋肉もあんねんぞ! おい!」



アラベルは構わず笑い続けたがアラベルの笑い方が少し不気味だ。その為、エニアはシンディーさんの後ろに隠れ、その様子をチョコンと見ていた。その様子からすると、エニアはアラベルを怖がってるようだ。



「おい! お前の笑い方が不気味過ぎてエニアちゃんが怖がってるぞ!」



「あはは! え? え? そんな、怖がられてる⁉︎ 女神が僕を?」



アラベルはエニアに近付くも、エニアはすぐに彼から離れる。



「こっちに来ちゃダメ! いやなの!」



エニアはあからさまにアラベルから離れる。



「アラベルさん、エニアちゃんに近付くのをやめたらどうです?」



シンディーさんはそう言うが、それでもアラベルはエニアに近づいた為、とうとうエニアが泣き出した。



「うぇーん! もうイヤ! あなた嫌い!!」



その言葉を聞いたアラベルは硬直した。



「僕、女神に嫌われた……」



アラベルはその場から全く動かないので肩を揺らしたが、それでも動こうとしない。



「おいおいおいおい! いつ動くねん⁉︎ 早く動かないと仕事ができないだろ! そこ人の邪魔になる所だからせめて外に行けよ!!」



「はっ! どうやら僕はショックのあまり、一瞬だけ幽体離脱してたようだ」



「なぁ、幽体離脱してたなら、その身体に戻っ来んなって。そのまま魂でどっか行っとけ」



「それは嫌だね! 僕は女神を見捨てるようなマネはしない!」



「あのー、ここにいる意味はないんですよね? そろそろ外に行った方が……」



「うん、もういいから外に行こう。ここ、邪魔だから。というより、このまま都会に行っちゃおう!」



「うん、行っておいで。私たちはこれから帰ろうね、エニアちゃん!」



「あれ? シンディーは来ないの? 別に一緒に来てもいいよ。僕は困ることなんて何一つない」



「わたし、都会に行きたいの!」



エニアは都会に行くことをどうやら諦めたくないんだなぁ。せめて邪魔者アラベルが一人いなければ、と思う反面ダンジョンに行くなら明らか頼りになりそうだし。



「うーん、一緒に? エニアちゃん、本当にいいの?」



「うん」



一応いいとは言ったもののアラベルが隙を突いてエニアちゃんに何か変なことをしないことを祈るばかりだな。



「じゃあ、よろしくお願いします! 航太くんとえー、……アラベルさん」



一瞬アラベルさんの名前を明らかに忘れてたことがバレバレだ。



◆ ◇ ◆



(移動中)



「シンディーさん。本当にここで合ってる? 次第に都会とは別の場所へ行ってる気が……」



「気にしない、気にしない。きっと気のせいですから」



「らんらんらんらーん♪」



エニアちゃんは鼻歌をする程安心なのか? とつくづく思ってしまう。



「うう。腹が……痛い」



「おい! アラベル、もっと早く歩け!」



「もう、無理。腹が……。トイレを……探してくれ」



アラベルは途中から謎の腹痛を訴えているし。



「なぁ、トイレなんかこんな森にある訳ないだろ」



「あ! あそこにありましたよ!」



「マジかよ⁉︎」



確かにそこに公衆トイレがあるけど、大丈夫かな? まぁ、トイレに行くのはアラベルだから別にいいんだけども。

あの巨木の隣にあるどう見ても不自然な公衆トイレは絶対何かあるに違いない。と、そう確信させられる程だからアラベルは何かしら警戒するはず。



「良かった。あったのか。ありがとう、女神よ」



警戒しない……のか。



「いちいちエニアちゃんを呼ぶな!」



「あ、いや、今回はエニアちゃんではなく、天界にいる筈の女神に言ったつもりだったんだが? うっ、腹……が。トイレに……行かねば……」



「ごめんごめん。そんな名前で呼ぶから間違えるだろ」



アラベルは地面に這い蹲りながらもなんとかトイレに辿り着いた。



すると数秒後、トイレの方から謎の悲鳴とアラベルの悲鳴が聞こえた。



「ヴォォォォォォォォォン‼︎」



「ゔぁぁぁぁぁぁあああ! 目がぁぁぁぁぁああ!!」



何だよ、うるせぇよ。目がどうしたんだよ。しかも走ってこっちに来てるし。



「ハァ、ハァ、ハァ。あのトイレにはもう行かん!」



「急にどうしたんだよ? まさかスライムか⁉︎」



「いや、違う! あの公衆トイレは使用中で中に入っていたのは……アレを思い出させないでくれ! 僕の目が死ぬかと思ったよ。あれは無理! 因みにスライムってのは?」



「ああ、何でもないよ。忘れて」



なんだ、スライムじゃないんか。例のスライムかと一瞬思ったよ。



「もうお腹は元気になったんですか?」



「腹は大丈夫だ。さっきので治った。トイレなどしてる場合ではない。生命の危機を感じたモンでね」



「さっきあったことおしえてー! 気になるのー」



エニアはアラベルの服の袖を必死に引っ張る。余程気になるんだな。



「女神も知りたいのか。でも、すまん。これだけは教えれないよ」



「エニアちゃん、彼は言いたくないからそっとしてあげてね」



「しりたかったのにー」



エニアはその後、拗ねた。アラベルに対しての好感度ポイント的な何かが減った瞬間であった。



◆ ◇ ◆



あの後、「あっちかなぁ? いや、そっち」と方向音痴ながらもなんとか無事、都会に辿り着くことはできた。



「ふぅ、やっと着きましたね。随分時間が経って夜になりましたけど」



「わぁあ! ビルいっぱい! らんららんらーん♪」



「スゲェ! 高層ビルがたくさんあってかなり近代的⁉︎ 電気もあるし、俺らの世界と殆ど一緒だ。さすがは都会だな。異世界とは思えない夜景」



「これは何度見ても僕は凄いと思うよ」



「でも……ダンジョンは?」



肝心のダンジョンが見当たらないじゃん⁉︎ これだと、日本と一緒だよ?



「ダンジョンはこの真下の地下都市にある筈です。でも、疲れてますよね?」



「うん、それなりには」



気怠さといい、この空腹感。ダンジョンで冒険する場合ではないことは確かだ。



「なら、あのホテルに泊まりましょう」



ホテル? これはもしや……。いや、それはないか。でも……可能性はゼロではない。諦めるな、俺。



「おー、それ良さそうだな! 行こうぜ!」



グイグイ押して行くぞ。



「僕も賛成だが、代金はシンディーが負担することになる。それでいいか?」



「いいんですけど、今回限りですよ? 私も金持ちじゃないんで」



「うん、もちろん今回だけ。 俺も明日からダンジョンに行って金稼ぐぞー!」



その後、俺たちはホテルの中へと入った。そこまでは良かったが、都会だからか料金が物凄く高く、結局ホテルで泊まることが出来なかった。






「ふぁぁあ、眠い。このまま地下都市に行くとか途中で力尽きる自信しかない。ここの治安が悪過ぎる」



ここは様々な店が密集している街で、今は地下都市へと続く歩道を歩いているところなんだが、こんな夜中にどうしてラリってる奴らが多いのかよく分からん。例えばこんな奴。「アガップーチン! トランプとか爆破だ、アぁぁあ”!」

こういう奴らばっかり。普通に怖いし、エニアちゃんはさっきから泣きっぱなし。



「ですよねー。もう少しお金があれば今頃ホテルに泊まってたらこんな変な人たちとは遭わずに済んだのに。ホントにごめんなさい!」



「大丈夫だ。シンディーが謝ることなどではない。むしろ、あの時僕が余計なマネをしていなければこんな事にはなっていなかったろうに」



あー、眠い。眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い。



「ふぉぉぉぉぉぉぉぉっ! ジャスティス!! これで決まったぜ!」



またラリってる奴らか。いちいちうるさい。何で外でレスリングしてるのか意味不明だ。






それから数時間後。やっと地下都市に着いた。

この地下都市は地下にあるわけで太陽がないので少しばかり暗いイメージがあったがそんなことは全然なかった。むしろ真っ昼間の地上よりこっちの方が明るい。幸いなことに、ここは地上よりも物価が安い。



むむっ! 何かあるぞ。何やら人溜まりができていて、誰かを取り囲んでいる。誰もがノックダウンするような可憐な美少女を取り囲んでいるのかな?

もし、そうならこの眠気やら何もかもが吹っ飛ぶんだが。



「ねぇねぇ、アレなにー?」



エニアちゃんもどうやら気なっている様子だ。



「俺も気になるし一緒に行こうか?」



「うん!」



便乗だ、便乗。俺はこの子に便乗する。



「え、勝手に行くんですか? ちょっと待って下さい。アラベルさんが……」



「アラベルか。俺には関係ない」



それで人混みを掻き分けながら実際に近づいてみたんだけど、全然知らない爺さんだったわ。



「へーい、そこの君。その服装からすると異世界の者じゃな。何か特別な力を手に入れたくないかい?」



なんだ? 急に話しかけられたし。観客の視線が俺に集まるのが凄く感じられる。



「俺か? 手に入れたいかと聞かれれば、当然手に入れたい」



「では、これから言うことをすれば特別な力を授けてあげよう」



「マジで?」



「マジですぞ。ワシは嘘をつかん。たった一つだけワシの要望を聞くだけで良い」



「爺ちゃーん、だからオレらもその特別な力が欲しいってば!」



「そうよ、そうよ!」



「待つんじゃ、若者ども。ワシはすき勝手に能力をあげるつもりはーー」



「ブー、ブー! オレらに特別な力を持つ権利は無いってか? そいつにだけ特別にするなんてオレらが許さねぇぞ!」



「「「ブーブーブーブーブーブーブーブーブーブー!」」」



この観客のブーイングの激しさ。尋常じゃない。



「あー、うるさいんじゃわ! ほんっと最近の若者はマナーってモンがないねー。仕方ない。こればかりは仕方ないがアレを使わせてもらうぞ。ほれ!」



その瞬間、周りの人たちがバタバタと次々に倒れていく。アラベルやシンディーさん、エニアちゃんも例外ではない。



「ふぅ、これで随分と静かになったじゃろう?」



この爺さんスゲェわ。マジでチートレベルの強さだ。



「確かに静かだけど、この人たちは大丈夫なん?」



「これくらいはいいんじゃ。気絶してるだけだし、うるさいヤツらが悪い。さぁ、ということで聞いてもらう。さっきの話の続きだが、ワシの娘をワシの元へ連れてきて欲しい。娘の名はマーラだ」



「マーラか。うん、それはいいんだけども、なんで俺を選んだ?」



「君は異世界の者だし何かしらの手段でこの世界に来たことだろう。並大抵の人は異世界になんて行けない。だから君を選んだっていうのが理由かね」



「ふむふむ、つまり俺は只者ではないと?」



「そうじゃ。マーラはダンジョンにいる筈だ。ワシは君がマーラを連れてくることを信じとるぞ」



どうしよう? 正直なこと言った方がいいのかな? ダンジョンにこれから初めて行くし無理かも、と。けれども、特別な力を授かるチャンスを棒に振りたくない。



「期待に応じるよう、頑張るよ」




今回も少し遅くなってしまいました。理由は色々あるんです。特にこの夏は忙しいのです。頑張って執筆すり時間はとりますが。


さぁ、話は変えますよ。

今回はステータスが出てきましたね。

あれは魔法を使って数値を出したのではなく、長年の勘です。

つまり、見た目でこの人のステータスはこのぐらいかなーと勝手に決めつけてそれを「これが君のステータスです!」と言っています。そしてスキル名についてなんですが、アラベルにはロリパワーっていうのがありましたね。これも長年の勘でロリが好きというのを見抜き、この名前を付けたのでしょう。いや、アラベルの場合は長年の勘なんて使わなくともすぐ分かりそうですね。(笑)


どちらにしろ、スキル名もその人が適当に考えて付けているだけです。そして、中々良いスキル名が思いついた場合はそれをメモします。勿論この事実を知っている者は情報屋以外には居ません。さすが情報屋。こんなことすら知ってしまう程とは。


皆さん、どうでしょうか?

今回初めて補足説明したのですがこれからも時々するかもしれないです。

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