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第六話 主人公、逮捕される

「で、さっきから視線があのテーブルにあるようだけど何かあるのか?」



アラベルは俺が元々座っていたテーブルを見る。



「そこにいる人達がちょっと気になって」



あ、口が滑った。



「おや、そこの女の子が好きになってしまったとか?」



「ほっとけよ!」



「あれ? よく見ると隣に幼女がいるのではないか⁉︎ 挨拶をしなければ。それと、言っておくけど、先に幼女に挨拶。これ、基本だから」



「え、お前ロリコンかよ……」



で、先に幼女に挨拶ってなんだ? そして、それを基本だと言う人、初めて見たわ。



アラベルが即座にあのテーブルに向かって歩き出し、俺は仕方なくついて行くことにした。



そして、例のテーブルに着いた。



「普通にクァワァゥイイ《カワイイ》ね」



と、黒髪ツインテールの子の隣で寝ている幼女に対して言った。



「お前、それ完全にアウトだから!しかも相手寝てるよ? 意味ねぇじゃん!」



それと、言い方が……。クァワァゥイイって……



「んんっ」



黒髪ツインテールの子が顔を起こし、目を擦り、こっちを見てきた。



「え、何なに? もしかして顔に何か付いてたり?」



彼女がそう言い、少し慌てている様子だった。



「え〜っと、そんなんじゃなくて、なんというか、ちょっと心配で」



「何が?」



可愛いからにきまってるよ、そりゃあ。けど、俺は基本的にはそういうのは言わないからな。そう、こういうのに関してはチキンだ。だけど、ここは異世界。そうはいられない。きっと多妻一夫が可能な筈。ハーレムを目指すならここは一つ、殻を破ってやろうか!



「う〜ん、か、可愛い子がこんな無防備で大丈夫かなぁって」



「うぉぉ、ド直球……やるなぁ!」



アラベルがニコニコしながらそう言い、少しムカついた。



「私、そんなに可愛い訳じゃないよ。ほら、隣にいる子の方が可愛いでしょ! この寝てる姿が‼︎」



そう言って彼女は幼女の方を見る。



「うんうん、普通にクァワァゥイイぞ」



もう、いいから、そういうの。それと、やつがあまりにも不審者みたいな顔をしていて、見ているこっちが怖いし。



「確かに可愛いけど、そんなん言ったらアウトなんじゃ?」



「あはは、そうだよね〜」



良かった。少なくともこの子は同意してくれた。



「ちなみにだけど、その子って妹さん?」



「妹じゃないんだよね〜。妹だったらいいのに。まぁ、言ってしまえば保護してるだけなの」



「つまり、その子は迷子ってこと?」



「はい、そうっぽいですね。親の名前を尋ねてみた所、『わたしのパパ、まおーなの』って言ってました。なので恐らく親の名前はマオさんかと」



マオさんかぁ。異世界でその名前は珍しいな。もしかして、他にもこの世界に日本人が居たり?



「で、そのマオさんという人は?」



「それが、どこにもそんな名前の人はいなくて……」



「僕がマオだぞ?」



アラベルは自信満々にそう発言する。いや、お前絶対違うからな?



「え、そうなの? 良かっ……」



「嘘つけ! お前の名前、アラベルだろ? 金なんかねぇくせに、引っ込んでろ! 」



シンディーさんはすぐ安堵の表情を見せたけど、違うから。こんな奴が幼女の父親だとするとゾッとするよ。



「いいの、いいの。もし、見つからなくても一人で十分だから」



アラベルはテーブルに顔を伏せ、酷く落ち込んでいる様子だった。「僕がマオなら……勝ち組だったのに……」と言ってるように見えた。



「あ、そうだ! 職業は何ですか? さっきお金が無いって言ってたから仕事探しなら手伝うよ?」



無職ニートだよ。手伝ってくれるなら有難いけどさ」



「あらら、それは大変ですね!」



「ちなみに、え〜っと……」



名前が分からない……。



「シンディーです!」



「そうか、俺は航太だ。で、え〜っと何だっけ? そうそう。シンディーさんの職業は何?」



「コメディアンです!」



コメディアン⁉︎ 珍しいな。異世界でそんな職業は初めて聞いたわ。



「それって?」



「みんなを笑顔にするお仕事。響きがいいでしょ? でも、実際は難しいの。オバちゃんに人気を取られちゃって、今ではあんまり稼げなかったり……」



「オバちゃん?」



「ほら、そこの!」



そう言い、この近くのテーブルにいるオバちゃんを指差した。



「あのオバちゃんは異世界から来たみたいなの」



そこには、全身ヒョウ柄の服を着たオバちゃんが男女構わず会話をしていて、その場を見事に盛り上げていた。



「異世界?」



「うん。大阪って所でね、大阪のオバちゃんはみんな面白いらしいの」



大阪のオバちゃんかぁ。まぁ、面白いのは面白いけどあの姿は異世界の人にも面白く映るのか? 話を聞く限りそうっぽいな。



「だから私もいつか大阪に行きたいの」



「……」



そういや、大阪いる両親は大丈夫だろうか? 俺が突然意味分からん異世界に来てしまったし、今頃心配してそうだな。



「どうしたの?」



「何も。ただ、大阪を思い出してて」



「まさか、大阪に住んでたの?」



「そうだけど」



「え、そうなの⁉︎ 凄いじゃないですか、それ!! 大阪に住んでたのなら連れて行ってよぉぉぉ!!!」



「本当はそうしたいけどさ」



「魔法使えないもんね」



「そうそう」



「シンディーさんは?」



「私? 使えないよ」



「じゃあさ、魔法ってどうやって覚える?」



「魔法使えない人が覚えるのなんてほぼ無理だよ」



「なぬ?」



「何驚いてるの? だってそうでしょ? 魔法使えない人が急に使えたりしないよ。もし、そうなら普通に怖いよ」



魔法学校とかそういうのもないんかよ!



「まぁ、そうだよな。うんうん」



うっそだぁぁぁぁあ。嘘だと言ってくれよぉぉぉ。魔法使いたいよォォォォォォ!!



「さっき言った通り、『ほぼ』だから可能性はあるのよ。けど、リスクは大きい。それも、かなりね」



「で、方法は?」



「ごめん、忘れちゃった♪」



忘れたんかい!



「リスクの方は?」



「魔法を覚えるのに失敗すると死亡しちゃうの」



怖ぇぇぇ!!



「だから普通は魔法なんて覚えないけど、覚えようとして死んだ人は大勢いるの。なんたって魔法を使える人は貴重だからね」



「貴重? 魔法使える人なんてそこら辺にいるもんじゃないん?」



「違いますよ。だって魔法って言ってしまえばチートでしょ。そんなもの全員が使えると想像してみて。そうなったら世界の秩序が乱れて世界が壊れるでしょ? ねぇ、怖いでしょ?」



「それは怖いな。魔法使って暴れる人が続出しそう」



うん、ダンジョンで魔法使って暴れていた人が実際にいたりしたし。結局死んでたっぽいし。



「そう、おそらくそれが理由なの。あくまでも私の考えだけどね」



「ああ、説明ありがとう」



「それでね、さっきから気になったのだけど航太くんって異世界の人だよね? その服装を見る限り」



「うん、そっちからしたらな。逆に俺からしたらそっちが異世界の人だよ」



「ほんとだ! あはは!!」



あら、何その笑顔。可愛いぃぃぃ!



「そう、それでどうやってこの世界の言語を覚えたの?」



「ああ、それね。その話は長いよ」



長くないけどな。こう言えばあんなダサい出来事も言わなくて済む。



「大丈夫です! 時間はありますから」



そう来たか。こうなりゃあ話すしかないか。



「じゃあ、話すよ。このギルドに情報屋がいるだろ? 」



「いつもの爺さんね」



「そいつに異世界の言葉を覚える代わりに金を全て渡せって言われて」



「あの爺さんならそんなことしそうだしね」



「そうなんだ。やっちゃったんだ。そいつのおかげでこの世界の言語が覚えれた訳なんだけどな」



「情報屋っていうのはそういうものなの。基本的にね。ぼったくりなんて日常茶飯事ですよ」



「残酷だな」



「それで、どれぐらい渡したの?」



「五百万ホキル」



「五百万ホキル⁉︎」



シンディーさんの声色が明らかに変わっていた。



「それってどれぐらいなんだ?」



「豪邸買えちゃうよ⁉︎」



「うぉっ!」



「ドンマイとしか言えないですね!」



「……」



「でも、どうやって五百万ホキルを手に入れたの⁉︎」



「何かよく分からん美味い果物を売ったらその額が貰えたんだ」



「何かよく分からん美味い果物?」



「とにかく美味しいんだ! それも涙が出るぐらい」



実際食べたら、出るよ。驚くことに。



「聞いたことはないですね」



ぎゅるるるる〜



「……」



「……」



おっと、お腹が鳴った。なんで、こんな時に限って……。金ないし。



「あ、こんな話をしてたらお腹空きますよね? 良かったら奢りますよ」



「ありがとう! ありがとう! なんて優しいんだ!!」



女神、降臨! バンザーイ‼︎



「そんなぁ、お金に困っているようですし、人助けが好きなだけですから」



シンディーさんは少しだけ照れていて、可愛い。この一言に尽きる。



「おい、アラベル! 聞いたか? アラベル?」



アラベルは幼女の隣でグッスリ寝ていた。気持ち良さそうに。



「寝ているようですね」



「今からそいつを起こすよ」



いかにも小学生がしそうなことを思い付いた俺は、アラベルが寝ているすぐ後ろに立ち、スッと椅子を引いてやった。



ドン!



「あ、何だ? 敵か?」



アラベルは必死に辺りを見回し、とても警戒していた。



「あっはっは! ダサッ!」



「あー、やったな!」



「凄く面白いお二人ですね。羨ましいです!!」



「面白いなんて、そんなことないよ」







「あれぇ、何が起きたのぉ?」



さっきまで寝ていた幼女が今の出来事で起きてしまったようだった。



「何でもないですよ。そろそろ食べるからしっかり起きといてね」



シンディーさんは優しい笑顔で幼女に話しかける。



「今から、食べるのぉ? わたし、お腹空いてない」



寝起きだからか、少し元気のない声だ。



「ちょっとだけでもいいから食べてね♪ ちょっとだけでも、ね」



まるで母親だと思えるぐらいしっかりと母性本能を発揮しているシンディーさん。こんな一面もあるんだなぁ。



「はぁい」



少し間を置き、しっかりと幼女は返事をした。



そして、その様子を笑顔で見つめるアラベル。何も言うことがない。



◆ ◇ ◆



「ご注文は以上ですね?」



「はい」



「かしこまりました。では、失礼します」



俺らはこのギルドのメニューをよく知らないので、シンディーさんにオススメのメニューを教えて貰い、それを頼んだ。



その後、届いた料理は初めて見るものばかり。



その中でも印象に残ったものは何かよく分からん正体不明のモンスターの頭が出てきた時だ。正直、身震いがする程のものであった。



そして注文した品が全て揃った。



「では、早速食べましょうか」



いきなり食べ始めるシンディーさんと幼女。



「『いただきます』はしないんか?」



「いただきます?」



どうやら『いただきます』と言う習慣がないようだ。日本独特だしな。知らなくて当然か。



「『いただきます』っていうものは食べ物に対する感謝で、日本ではいつも食べる前に言うんだ。」



「そうなんだ⁉︎ 初めて知りました」



「さて、誰が『いただきます』を言うのかな?」



幼女の方を見て、そう言うアラベル。



「わたし、言いたい」



幼女が元気よく名乗り出た。



「それでは言ってみてね」



「いただぎます!!!」



いただぎます⁉︎



「あ、間違えた。いただきます! だった、すみません」



「いいよ、いいよ。間違いなんて誰にでもあるから。さっきのクァワァゥイイよ」



アラベルは必死に彼女をフォローした、のはいいんだけどクァワァゥイイと言うのは、な。



「さ、食べていきましょう」



俺は正直、食欲があまり湧かない食べ物を食べるには抵抗があったが、あまりもの空腹感で倒れそうだった為、恐る恐る注文した品を食べ始める。



最初の一口はなかなか口に入れられなかったので



「どうしたの? 具合でも悪いですか?」



と、シンディーさんは心配そうに言うもんだから覚悟を決め、口に含み、それを呑み込んだ。



初めて食べる異世界の料理。これが想像以上に良かった。すぐに口の中で広がる様々な味。だけど、どれも合わさることで、絶妙な旨味を引き出している。ほんとに!



これがくせになり、徐々に食べるペースを早め、次第に『よおぉし、思う存分食べるぞおぉぉぉ! うぉぉぉぉぉ!!!』の勢いで俺は食べ始めたのだった。



やがて、食べ終わると他愛もない話をしたりしてその後もしばらく盛り上がっていた。



◆ ◇ ◆



「ふぁぁあ、わたし、眠い」



幼女が少し大きなあくびをする。



「じゃあ、そろそろ帰る?」



「うん、帰りたい」



「ということなので、私達、帰ります。今までありがとねー」



シンディーさんと幼女は立ち上がり、ギルドの入り口に向かった。



「いや、こちらこそありがとう。奢ったりして。気をつけて帰れよ〜」



「は〜い」



こちらを見て、元気よく手を振ってきたので俺らも同じく手を振り返した。



ふぅ。もう眠たいし、寝ようか!



「そろそろ俺らも寝ようか」



「寝よう。と言いたい所だけど、どこで?」



「あぁぁぁあ、しまったぁぁぁぁあ!」



「僕はテーブルの上で顔を伏せて寝るとするよ」



「なら、俺も」



俺はテーブルの上で顔を伏せると、すぐ寝てしまった。



◆ ◇ ◆



バチン!



突然、何者かに上体を起こされてビンタをされた。



「起きてください! 十一時にギルドを閉めますのでご退出願います」



「ちょっと扱い酷くない?」



「いくら揺らしても起きる気配がなかったので強引に起きて貰いました」



目がまだぼんやりとしていたので目を擦ると、メイド服を着た少し背の高い女性が目の前にいた。



「友達も起こしてあげて下さい」



「任せろ!」



俺はまたもアラベルの背後に回り、椅子を勢い良く引いた。



けど、今度は転ぶ代わりに空中椅子をやってるじゃないか⁉︎



「隙あり!」



アラベルは俺の方を向き、俺のズボンを勢いよくズラす。



「きやぁぁぁぁあ、やめて下さい(棒)」



メイド服を着た女性は一切動じなかった。



「……」



「では、帰って貰いますね。今すぐに」



何なんだ、あの反応は……



その時、後ろからガシッと肩を誰かに掴まれた。



そしてそこに立っていたのは、金髪で、群青色のローブを羽織っており、短髪が良く似合う青年だった。



「それ、犯罪ですよ?」



彼は満面の笑みでそう言う。けど、内心ではそうでないことぐらいは分かる。そういう怖いのは、やめて欲しい。



「パンツはギリセーフだろ? 周りに人なんかいないし」



「いますけど?」



そう言い、メイド服を着た女性を見る。



「この場以外にはいない……筈」



俺は念のため、周りを見渡した。



「それでも露出狂ですよ?」



「いやいや、違ぇし! これには訳があって……」



「露出狂ですね!」



おい、そう確信するなって。



「待って! 酷い誤解が……」



「は〜い、現行犯逮捕で〜す!」



彼が俺の肩を掴んだまま離さずにいた。そして次の瞬間、視界が切り替わり、俺はどデカイ部屋の真ん中にいた。



そして、複数人彼と同じようにローブを着ていて、俺を囲んでいた。もちろん、その人達の視線は一点に定められていた。



「え?」



そう、俺に。周りの視線がとにかく熱い。



「では、早速詳しいことを説明して貰おうか…ね」



「え〜っと、まず、この状況を説明してもらえますか?」



「見ての通り、君は現行犯逮捕された。この意味が分かるか…ね?」



「刑務所行き、ということですか?」



「そういうことです…ね。ラブレット君、この子の犯した罪を言ってごらん」



「奴はパンツを公共の場で見せ、その状況を楽しんでいたようです。つまり、露出狂です!」



「ありがと…ね。そうなると……」



「ちょっとストップな! そいつの言うことは明らかに違うから‼︎ 露出狂なんて趣味はねぇし、楽しんでもいなかったぞ?」



「その証拠はどこにあるのか…ね?」



「……」



クソ! こいつら……。



「さて、連れていってもらいま……」



「待ってください! 彼の服装を見る限り、異世界の人です。そんな異世界の法律を知らない人をすぐ刑務所に入れるなんて彼は嫌な筈です。ですよね?」



おお、なんということだ。ここにも優しい人が。



「そう、パンツぐらいで刑務所なんてな。しかも、こっちは被害者だってのに」



「被害者っていうのは? どういうことか…ね?」



「俺は、友達? を起こそうとしたら、その隙にズボンをズラされたんだ。そう、不意打ちだった。別に自ら見せた訳じゃない。だから、俺は被害者だ」



伝わったのか? この気持ちが。別に俺が悪い訳じゃない。



「そういうことですか。まぁ、今回は異世界の人でこの世界の法律を知らないっていうことで許しますが、次回は気をつけてください…ね」



「そっちも変な法律は作るなよ?」



「別に変な法律は作らないので、ご安心を。ということで、一晩ここで寝て貰います…ね」



「え? 一晩? もういいんじゃなかった?」



「何か問題でも? 悪いことをしたからには反省はしないといけませんから…ね」



「こっちが被害者なのに?」



「証拠不十分ですから…ね。こればかりは仕方ありません。あ、な、た、が露出狂であることを認めざるを得ません…ね」



「すみません。本当は無実を証明してあげたいんですが証拠がなくて」



さっきの優しい人か。よく助けてくれたよ。



「全然いいよ。それより、ありがとう。おかげで許してくれたからな」



「いえいえ。次は気をつけて異世界での生活を楽しんで下さい!」



彼はそう言い残し、突如居なくなった。まぁ、いいや。



それにしても、証拠不十分で露出狂扱いかぁ。うわぁ、ロクなことないなぁ。



「さて、移動して貰いますか…ね。ラブレット君、例の場所へ」



「はい!」



例の場所?



「怖がる必要はないですよ。しっかり付いて来て下さい」



どこに連れて行かれるかは知らんけど、大丈夫かな?



俺はラブレットにひたすら付いて行くこと数分。やっと目的地に着いたらしい。



あれ? 見た目的には、なんというか、普通。



少し広めの部屋にロウソクが壁にいくつか設置されていて、ベッドが6つある。特に変わった所はない。



「さぁ、ベッドでゆっくり寝て下さいね。では!」



ラブレットはゆっくり扉を閉め、部屋から退出した。



「ふぅ、やっとゆっくりできる。グッスリ寝よっと」



俺はベッドに横たわり、瞼を閉じる。



明日はどうしようかな。金ないし。生きていけるかな。いや、ポジティブに考えないと。金なしでのサバイバルもできる筈。そうだ、そ……



いつの間にか寝ていた。



◆ ◇ ◆(夢の中)



お、ここは、海だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!



水着姿の美少女が一杯。なんて良い場所。思う存分楽しも……



あれ? 空に雲がかかって、めっちゃ暗くなった。



というか、周りが見えない。ねぇ、美少女達、いるのぉ? 見えないけど。



あ、かすかに見えたぞ。しかもこっちに来てる⁉︎



よしよし、そうだ。俺が守ってやる。俺が。



な、美少女達が俺をハグしてきた⁉︎ うぉぉぉぉぉォォォォォォ!!!



て、ちょい待ち。美少女達の体が、全ていくつもの小さな蜘蛛に変わったんだけど⁉︎ それが全身に覆い尽くされて……あああああああ、ヤバイ、噛まれる、死ぬぅぅぅ。



ヤ、ヤメロォォォォォォォォ!!!!!



ギャァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!



◆ ◇ ◆



はっ。



「なんだ、夢か」



でも、もう寝れそうにない。蜘蛛恐怖症の俺にアレを見せつけられたら、頭がおかしくなる。しかも、そのせいで美少女恐怖症にもなりかけた。美少女が突如蜘蛛に変わったら誰だって怖いよな。



ああ、何分経っても寝れない。



ガチャッ。



お、誰か入って来た。ラブレットとーー



パンツ一丁のアラベル⁉︎



「今夜はここで眠って貰います。では」



ラブレットがすぐ、さっと部屋から出て行き、アラベルが奥の方にあるベッドへ向かった。なんで奥の方に行くのか知らないけど。こだわりかな?



「お前、何その格好?」



「うぁ、ビックリしたぁ。起きてたのか。で、この格好の理由か?」



「うん」



「外で寝てたら、その間にどうも誰かに服を奪われたみたいで……。治安悪いね、ここ」



「外って具体的に?」



「そこら辺にある道端だよ」



「……」



「ニヤけるなって!」



「いやいや、笑っちゃうだろ、それ。だから逮捕されたんか。流石にパンツ一丁は……」



「僕も好きでこういう格好してる訳ではないしさ。疲れたし、もう寝るよ」



「じゃ、俺も」



とは言ったものの、相変わらず寝れない。



一時間経過ーー



「うわぁぁぁぁぁぁぉ!!!!!」



うるさいなぁ、アラベルのやつ。



「急にどうした?」



「悪夢……」



「アラベルもか。実は俺も見て、なんなんだろうな?

そういう部屋かも?」



「ああ、寝れないよ。睡眠不足だよ。嫌だよ」



「とりあえず、俺は寝る努力する。じゃあ、おやすみ」



「おやすみ」



悪夢を見るなら、それに対抗できるぐらいに面白いものを考えたら寝れるかも。例えばーー



って、思いつかない。もう、いいや。こうなったら頭を真っ白に。



◆ ◇ ◆(夢の中)



ここは……辺りが真っ暗で何もみえない。



「こんにちは! 聞こえますか?」



何やら女性の声が聞こえるけど……



「はい!」



「本当に急ですけど、あなたは昨日、お亡くなりになられました」



え、俺急に死んじゃってる⁉︎



「どうして俺は死んだ?」



「突然屋根から降ってきた牛に潰されてです」



は? 牛が屋根から降ってきた牛に潰されて死んだぁ? 牛が空から降ってきたってこと? 美少女ではなくて?



「そんなダサい死因なんて聞きたくない、聞きたくない! せめて美少女なら許せたのに」



「そうですか、残念です。でも、それも過ぎ去ったこと。新たな人生を歩みたくないですか?」



「それって記憶を引き継いだままで?」



「はい、可能ですね。異世界へ行って、俺Tueeeしたくないですか?」



「そんなもん、もちろんしたいよ」



「では、これからあなたにチート級の能力を捧げます」



やっとだ。やっぱり異世界はチート級の能力がないとな。



うぉ、なんか俺の周りにかなり明るい光が。



「あなたの能力は、まーー」



◆ ◇ ◆



パチン! パチン! パチン!



「あがっ! 何? 痛っ!」


今回はなかなかキリがいい所がなかったので中途半端になってしまいました。そのままキリがいい所まで書いたら、ね。それにしても、いつも以上に長くなりました。約一万字ぐらいかな。そして、いつも以上に意味不明な展開。次回はこんな意味不明な展開にはならないと思います。では!

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