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せんぷうきのやすみじかん

 残暑の頃合も過ぎ、ここ十日ほど扇風機を回す機会もなかった。そんな頃合だからと、扇風機を片付けようとしたその時になって気が付いた。

 今は九月の中旬。ここで片付けてしまうことは常識であるとも言えた。

 だがしかし、十一月にもなれば暖房の季節が始まる。そしてテレビのなか、小人たちにドヤ顔で述べられるのだ。暖かい空気は部屋の上に溜まるんですよ。扇風機を使って部屋の空気を回した方が経済的ですよ。


 ――――リアリィ? リアリィ。


 つまり、扇風機の休み時間は九月の下旬から、十一月の中旬までと言うことになる。

 暖房というものはエアコンであれファンヒーターであれ、寒がりであれば三月下旬から、四月の上旬まではお世話になるものだろう。

 その年度にもよるが、六月の中旬ともなればクーラーとは言わずとも扇風機くらいは欲しくなるものだ。

 ふむ、ここで奴のアリバイを時系列にそって検証しよう。


 まず、確実に必要とされない時期は十月、そして五月だ。そしてそれを挟み込むようにして一月あるか無しかが扇風機の不要な季節。

 つまり、十二ヶ月のうち、八ヶ月は出番が存在するという計算になる。

 クーラーがあれば扇風機は要らない?

 いやいや、テレビの中の小人たちがドヤ顔で口にしてます。併用すれば電気代は半分で済むって。


 ――――リアリィ? リアリィ。


 扇風機が夏の季語とは誰が決めたか、その者の首を刎ねよ。

 扇風機様の出番は夏冬合わせて八ヶ月間であるぞ。

 つまり、これからたった二ヵ月後に出番があるのに片付けるの?

 ねぇ、それってなんだかおかしくないですか?


 上は常夏、下は常春、これなーんだ?

 高気密高断熱住宅の罠。一階の暖かい空気が二階に侵食する現象。これを食い止めるためにも扇風機様の出番が必要なのである。一階を十分に暖めようとすれば二階は常夏になる。


 高断熱も良かろう。セントラルヒーティングも良かろう。床暖房も良かろう。

 だがしかし、その熱の行き着く先は全て二階のロフトであるぞ?


 夏は夏。一階、二階、揃ってクーラーを付けたなら、上は秋空、下は極寒これなーんだ。

 冷気を押し上げなければならぬ、訳の解らぬ仕様となる有り様。


 扇風機様、どうかよろしくお願いいたします。

「うむ、良かろう。わしに任せるが良い」

 かくして扇風機様の出番は年がら年中となるのであった。


 ゆえに、高田の人は考える。

 よし、片付けるのやーめた!! 分解掃除だけして置こう。

 いけ! クレ556! キミに決めた!!

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