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僕が一人暮らしをしながら考えていること






 例え話をしよう。

 無情すぎる台風がやって来て部屋のなかからは僕の持ち物がすっかりなくなってしまう。どの感情も、名前をつけ忘れちゃいけないから、暇な夜とかにでもゆっくりと考えなけりゃな、と手帳にも色々と書き込んではおいたんだけども、その手帳も消えるわけ。残されてた数少ないものたちも顔つきが違ってみえる、冷蔵庫はまえは優しい性格をしてた。けどちょっと今じゃ歪んだ。扉に貼りつけておいた欠片たち、今頃どうしてるだろう。そうだね、変化はいつも急。僕も変形せざるを得ない、相手の目をじっと見つめればいいというふうに、答えはその目の奥のほうにあるとでもいうふうになってゆき、見ようと思えば見れないものはないのかなって、近頃そんな具合。

 風も、この頬も、どこまでも他人だった。僕らしく冷蔵庫をあけれる。百年ぶりに手を前に出す。せめて、せめて、せめて、と口は動く。貼ろうと思えばこの顔になんでも貼れる、辛酸なめ子を強いられる瞬間もいまだにあるんだけどさ。最たるものでは、同じ曲なんだと思おうとするということのしんどさがある。あの瞬間の訪れるまえまで好きで聴いてた曲とか、今の僕にはつらすぎる。

 誰かに忘れられている、ということを知っている。朝か鏡に背を向けてぶつぶつ僕は一人ごとをいう。

「探せ。そしたらいっくらでもあるよ。そこに置いたスマートフォンを手に持ち。そこに落っことしてる君の脳味噌も持ち直し。ね。簡単だ。」

 きっと君たちは深海では鉛筆削り器になりながら存在しているそう僕に信じさせて、俯く日々は終わらない。時間はお金じゃ買えない、時間だけは。そう、ほんの五分だけだとしたって。彼女たちも僕も毎日じぶんを買うし、彼だって同じ。どのみち何かしらは飼うんだろう、嫉妬心、母親たちに対しての失望、娘としてのじぶんへの失望とか。少しだけ壊したら、答えだ。さよならはまだいえない、俯く日は終わらないまだ終わらせたくない、俯く日々は終わらないあついシャワーにサンキューって感じに大きく口をあけておるべきなのじゃよ、狭い世界。これ全部私のものよって歌うべきなのじゃよ、続くことない体。冗談ならどんなにいいか、続くことない私の目耳鼻欲望と口と私の畏怖する私のどうして私のこのまま私のとりあえず私の感じるべき私のうれしい私の寒さ私の安らぎ、続けてみたって続くことはなく、続くことない体として通用するのなら行くだけ。

 だけどやっぱり、なにを抱いても、きつく抱きしめても、これの題名がずっとわからない。追い出せない。だとしても誰よりも行きたい、僕は僕を振り切って遠くまで行きたい。そこにいたい。





 それは、心ない僕の正常とはいいがたい頭んなかが激しい雨過ぎ去った後のぴかぴかの空の下へと出てきた合唱コンクール前の中学生にちょっとちかづける瞬間のこと。










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