68/700
たんに九十日違いの注射と思いこんでみたらいいんだと説いたのは僕のほうだったのにな
綺麗な涙はハルカ遠く、しかし海に囲まれた町のいつも誰もいないあの坂道をのぼったところ。
泣く練習をしていた僕たち。
たとえ何もかもが偽物だったとしても構わないとさけんですらいた、あの時の僕たちの潔さ。
感想文は膝から始まっていて、それが痛いのかウレシイのか見分けがつかないことに対しての大きな焦り。
雪と充電器。
コドクナコドモたちが担当していた照明。
あたたかいだれかのあんまりあたたかくない飲みもの。
地面にくっ付いて建ってはいなかった、僕たちのイエ。
どんなことがあっても何でもないことみたいに思えていた僕たちがいた、あの頃。




