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つまらない汗






 ここでは汗だけが動く。扇風機の作動音が微かに響くこの部屋では。

 僕はどこにも行かない、行きたいところはあるけど。この扇風機のように、心が同じ場所に居座っているときには、選択肢がない。動くのは汗だけ。僕の手も僕の言葉も、どこにも行こうとしない。何の価値もないし、もう一生噛み合わないんだろうって感じ。

 汗だけが動く、汗と涙だけが。汗は肌の上を動いて、予定調和的に、それで僕の一日が塗り潰される。何一つ意味が見出せない毎日。

 僕は透明な存在になる。中学校でいわれ続けてた、つまらない存在にすらもうなれないものへと。

 汗だか涙だかが床に落ちて、ただ落ちていって、もうずっと、どこにも行けやしないんだ。












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