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特別な感情
彼は呪われていた。おれも呪われていた。こういうのだけをおれは互いが安心できる特別な二人の関係、完璧に安全な状況というんだと、そう思ってた。でも違った。そういえると思っていたのはおれだけだった。こういった事柄の大半はもっと難しい問題として捉えるのが妥当なのだった。彼にはそこがよく見えていた。望もうが望むまいが変化はいつかどこかのタイミングで生まれる、おれたちにこうして言葉がある限りは。未来永劫ずっと約束できることがあるとしたら唯一それだけだった。人はどこかで変わるということ。
つまり、おれの感情だけが特別で、バグでしかなくて、最初から最後まで、たんにおれの一人よがりでしかないんだ。




