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リアル
ハエが、と兄がこちらを睨めつけそういう毎に一匹のコバエが口の中に発生する呪いを世界中の全ての弟たちが使用可能(生後十一か月より可)になったとする。しかし顔を合わせないように努めていても事実同じ家で暮らしている以上は、兄に呪いをかけたことを後悔するのは時間の問題なのも目に見えている。
現実世界に生きている弟や妹にとって、兄や姉に対するネガティブな感情はしばしばこういった状況を踏襲する。
家族関係において最も厄介なのはここの点にある。滑稽な現実だが、自立する前の待機時間にはどうしてもそんな中を生きているほかにない。先に述べた呪い云々の部分は置いておいて、それをもしぶつければ、はね返ってくる、という事実。その場でか、ある程度ラグがあるのか、あるとしたらどれだけの期間なのかそのへんのところは本当に分からない。でもいつの日かはそれが弟や妹の暮らす部屋に姿を見せる。壁にとまっている羽虫のように。どこかで必ず、それは姿を現すのだ。




