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無知
知らないことは多いが、知っていた方がいいことを知らない時間が長すぎたことを知らないでいたじぶんを知らなかったことを知った時に、その事実を初めて知り、そういう時にしか自身を知らないことがあまりに多い上にそれに気づきもしない人間としてしか捉えられない、なのにこの感覚すら長続きはしない、書き留めたとしても薄れていく、事実に対してすぐさま受け止めきれていないじぶんだけがいる、そんな時に、でもいちばん必要なものが何なのかだけは分かる、多くを知らないままでいるじぶんを少し変えられるかもしれない力や機会に意識を向けられる瞬間をじぶんが持てたことを、悔やみながら動揺しながらも幸運だと感じられるようなじぶんでいること、唯一の救いになるのなんていつだって気持ちの切り替えの早さだけだということ。




