表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
569/623






 彼女は彼女の部屋にずっといる、そうしている以上は彼らが彼らであらねばならない事情であるだとか彼らのあいだで評判がいい曲もどんなか知る術はない彼女でいられた。

 けれど意図せずにたまにその機会を彼女は得るのだ、彼女の部屋の窓はたまに開いていて、開いた窓が一つでもあれば何かは必ず変化する。たとえばドーチやポスト・マローンやセントラル・シーの新曲がどんなかを知っている彼女へと。



 彼女の最大の弱点は、心があるところ。

 だからせめて私が、街を好きになれたなら。

 そう思いはするものの、彼女はずっと大嫌いなままだ、来た時から本当に嫌いだった、こんな街なんて。

 彼女は努力を怠る。心があるなら、好きも嫌いも踏み躙る彼女でなくてはならない。でもそれはしない彼女。

 かわいそうだ。そう呟き、彼女は膝を汚す。花を守る。小さな人間の尊厳を守る。風に舞い上がるフリーペーパーの行方も見届ける。



 彼女の部屋には窓が一つある。

 その窓は時たま開け放たれ、中に風が入る。

 彼女が泣き出すのは、そのせい。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ