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首ちょんぱ
おれが近頃よく思い出すのは、きみがメモパッドによく描いてた死神の鎌。
きみがどこかに行っていて、おれがきみの部屋に一人ぽつんと残されている時のあの茫漠とした時間の中で、おれはしかし大して不幸でもなかったりしたんだよ、きみが信じないとしても。
きみの部屋のローテーブルにはいつも、シンプルなメモパッドとペンがあった。きみが電話中に手元に引き寄せてリスト作成したり、たんに落書きしたりするための。
めくると、そこにはじつにたくさんの大小様々な死神の鎌。
ああ、でも実際そうだと思う。
実際そう。
ああいうのでおれの首を落としたほうがいい。今日とかにでも。
たぶん、だってもう、次きみと会う時には抑えが利かなくなっているはずだから。




