表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
559/623

小雨






 じぶんではない誰か他の存在が幸福になること、ただひたすら彼らの人生に幸せがくるのを祈ること。俺は未だにそんなふうに、混じりけなしの祈りがやれた試しがなかった。じぶんの受け取った幸運よりも大きな幸運を、特にそれが友達だった場合には、そのような贈り物が本当に天から送られていることがあり得ると実感させられる様を目の当たりにして、心の底から拍手を送れる自信が全然ない。じぶんを知らない、敢えてじぶんの正体には気づかないようにしながら、もう死ぬつもりでいる連中とは俺は根底から違っているからだ。友達の幸せになる姿すら見たくないと思ってしまうこの醜い心根。大好きな友達の中で、誰か一人だって不幸になってほしいと俺は願った時はない。かといって、皆が幸せに生きていくことを真実願いにできてるのかって考えてみると、俺という人間にはそれも不可能なのだ。この一点だけとってみても、出来損ないの判を押されても仕方がないとそう思っていなきゃならないのを、俺は生き難さにしてよかった。

 好きな人たちにはじぶんを忘れてほしくないと思ってしまう。俺は友達がみんな好きだからだ。

 携帯代、服、住みか。いつもぎりぎりの暮らしで、だけどじぶんしか頼りにはならないし、俺はすごく見栄を張る。このへんに原因があって、原因を全部消せば俺じしんの今までの考え方だって変わるかもしれないと、そう考えているべきなのかもしれない。だけど、理解されたいとは思わないんだけど、俺はこのままの俺でいいと感じる。クソみたいな連中の許可なんかいらない。愛されたいだなんて微塵も思っちゃいないんで。俺は一生カタオモイ。それでも別に構わないよ。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ