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金魚掬い






 私は戻ることにする。

 あの日からどれぐらいの月日が流れたのかは、戻るために、私は敢えて考えない。


 ひとつだけ分かっていたのは、彼がずっと同じ場所にいるのだということ。


「帰れよ罪悪感」




   *




 私は戻ることにする。

 あの日からどれぐらい年月の経過があったのかは、戻るために、私は敢えて考えない。


 彼がずっと同じ場所にいるのだけは分かっていて、私はそのことを思い出すと怖くて、でも思い出す、これから先だって思い出すだろう、けっきょく戻るほうがましにも思えてくる。


「みてくれこれ首輪がこんなにボロボロに。さ、はやいとこ証明してくれよな」




   *




 また戻ろうとしている、腰が曲がっている私。

 そもそもじぶんがもはや一体どこを目指して歩いているのかも、はっきりとは分かっていない。それでも私がやろうとしていることは正しい。


 今年も冬はやって来ていて、私がいくら冷たい人間だとはいっても、さすがに彼も今回のことで認めるしかなくなる。

 これまでの人生、私が彼のことをおもわなかった日はなかったのだ、と。










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