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室内に荒らされた形跡はなく盗まれたものはないとみられる


 




「室内に荒らされた形跡はなく盗まれたものはないとみられる」

 それが公式見解、それが人々の知る俺とあなたの間にあるものの全貌。俺たちが作り上げた関係、形も温度も、ガレキ跡地まで赴いて想像を働かせる必要すらない、と。何よりこの一文が2人のことを表現しているのだから、と。今夜、誰もがそう信じている。その口元に微苦笑や冷笑を漂わせて。



 だけど、本当の2人のストーリーはもちろんそれ以上だった。

 俺の左肩の傷が何を意味するか、たとえ目にしたとしても誰一人、ほんの少しだって理解なんかできやしないことが、これを何より証拠立てる。













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