しけった話

理由

　あの子がスキップしているところをみんな見かけていたんだ、あとになって発覚したのは、でもあの日あの子がでかけていた目的が首吊り用ロープを買いに行く、そのためだけだったってこと。まったく。

　いつだって、自殺用に道具を買おうとして外にでてきた人間たちは、その歩き方が特徴的すぎるため、また普段の不健康すぎる生活態度からは考えられない週末の外出というその点からして、もう周りは怪しい行動と捉えるため、彼らはすぐに捕まってしっかり病院に送られてきたという事実がある。

　あの子がスキップしてた理由。

　晴れた空と、大きな笑顔を見せてスキップしていくあの子。

　何人かはゲームセンターの駐輪場とかボウリング場の前の道とかから手を振って、するとあの子は珍しく挨拶を返してきた。

　あの日見たあの子は眩しかった。

　だから、みんな目がくらんでしまった。

　ときには同級生に対する期待と思いやりが、間違っているあの子たちの背中を押すんだ。