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世界に一つだけの花を踏み潰して
忘れないことは才能だ。
忘れることも才能だ。
忘れたり忘れなかったりするのを繰返すだけなのは、才能とは真逆のもの。兄や姉が先に家にいて、弟としてこの世に生を享けるのは才能じゃない。ただ普通のことでも全くない。すごく特別だし、最悪だし、災厄にもなり得る事態といっていい。
兄として生を享けるのは、最悪じゃない、才能じゃない、普通のことでもなかった、しかしやはり災厄にもなり得る事態といえるんだろう。世の中を見ている限りそれは確かにいえると思う。
彼は忘れた。
僕は忘れなかった。
何のためか、だなんて話は一切せず、僕は彼に、こっちを見てほしい。ただそれだけが僕の真実だった。
