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死神の指
そうだ、まず部屋を探そう。
それを済ましたら、僕が彼女の実家の老猫もこっそり始末してあげよう。枷でしかないのだから。彼女はたんに自覚してないだけ。そうなればいいのにと本当は思ってる。
壁に避難グッズ。
思いとはうらはらに、やっぱり広い部屋を選ぼう。
やることがいっぱいだ、弁えない男たちの愛情も僕が全部返送してあげる。
アイロンがどこにあるのか彼女には分からないまでいくのが理想だな、僕と彼女で力を合わせよう。
だってそこは僕と彼女の部屋。冬に流れてるようなホワイトシチューのコマーシャル映像みたいにしてみせる。
彼女が聴きたい曲はいつも、死神の指が向かう先にだけある。




