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不意に誰もが無防備になる季節の中に立っているのだということに君も気づくはず
僕を上手く捨てる人しか息をしていないこの世界で、彼は、息をとめてでもこっちを見ようとした最初のひと。
そんなひとが、はたして捨てないじぶんをどこかで上手く捨てるなんてあり得るのだろうか。
僕たちはきっと、過去に見たかもしれない映画の中であったような描写に近い、とても現実とはおもえない非道いことをやる。
それもそう遠くはない未来に。
彼は、彼として、僕に対して非道いことを実行しているにちがいない。
そういう最後を呼び込むことになるんだろう。
僕たちの仕種の一つ一つによって。
僕が僕じしんのままでいたがった、その罰として。
僕に逃げる選択肢はきっと、最初からなかった。他に道はなかった。
他のどんな十二月ももう僕は欲しくなんてない。




