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熱々の内に
揚げたいの、あなたの察しの悪さを。私が。
それは、私のためにここに存在してしまってる、察しの悪さなのにはちがいないから。
何か、声に出していいつつ、私は揚げたいし、それがもうすぐに揚がるというころには、あなたの気配は随分遠くにあって、それでも私はちゃんと揚がるまで見守ってる。
どうしても、どうしても私がやりたいこと。ただ、ほおばること。熱々の内に。
私が食べるの、あなたの察しの悪さを。
私たちの台所にはお塩も何もないから、これでいい。
涙を少しつける。
私はあなたの察しの悪さを食べ、口の中を火傷し、また少し涙し、それでまた憎きそいつを口の中に入れる。




