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2H






 一個の風船が属しているべき場所など世界のどこにもないのと同じように、あの人の声も横顔も、本当のところ誰のものにもならないはずなのだった。

 住みやすい遊園地などないのと同じ。そんなものこの世のどこにも存在してちゃいけない。

 澄んだ地下鉄車両などないのと同じ。シンプルな努力と閉じられている目。

 狭くも広くもない星空の下で頼りなく手を伸ばすのと同じ。遠さとはいつも近さのこと。

 それは、転校していく同級生と交わす約束と同じもの。

 それは、信じたい一心でサンタクロースへ出される手紙だったらどれも、いつだってオリジナリティに欠けているのと同じこと。

 もしくは、すでにゾンビ化した後でゾンビメイクってどんなのがいいということに世間ではなっているのか最適解を知りたいと思うのと同じ。それについて尚も検索しようとし、なぜかしら動く親指とよく似た何か。

 それは、長い年月の中で害のない童話へと変わっていくようなことと同じことだ。



 そうなんだよ、結局のところそんなものでしかないよ、死んでるんだよ、わずかにでも彼や彼女の本当の心がその場所にはまだ残されているんだとか何だとか、とうの昔にそのへんの話をする段階は終わってる夜、検証もするだけ時間の無駄。死んでるんだよ、れっきとしたそれは、この世界での死。

 何度夢を破ろうと永久不変のそれを意味しているんだ。



















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