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星ふる夜
素晴らしいあなたの指を優しく奏でるように包みこむ。
毒の効き目が出始めてあなたの体は震えが収まらない、意識朦朧の状態のあなたの目は天井のファンを向いたまま。
あなたの指と僕の指が絡まる。
笑顔がこぼれてしまう。
僕は長年ずっとあなたに対して思っていた、こんなふうに星ふる夜に素敵に贈り物がしたいと。
そっと小箱を上着のポケットから出しても、鈍感なあなたは何か気づきもしないんだ。口からは文になってない、壊れた日本語がただ落ちて床の上で砕ける。
なんていい夜だろう。
僕からあなたへ、この指輪を贈る。
誕生日、おめでとう。




