表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
458/618






 あなたの家にある庭、あなたの暮らすところに庭なんかずっとなくても、あなたの庭ではある日、一本の木が立っている。唐突にそれは起きるわけだが、いつもの朝の日差しと鳥の鳴き声のせいでじぶんが知らない遠い場所に流されたみたいな感じがしているだろう。その木はどこからか見当もつかないがやって来て、今朝あなたがカーテンを開けたら立っている木だ。あなたの庭目指して? たまたまだろうか、たまたまあなたの庭が目についたので小休止、だけど木だからしっかり根を下ろす、そういうふざけた状況だとかか? いい分を聞こうじゃないかとあなたは裸足で降り立ってズンズン木に近づく。あなたは冷静沈着の人々の一員でありたいとは思うけれど、今は怒気を放っている、そうじぶんでは考えていても、あなたらしさしか今もそこにはない。この場所に侵入を許してしまうだなんて。それもいきなり大きな木だなんて。今あなたは駆けていくこともない、怒鳴りながら駆けていくことも、裸足でダッシュで勢いをつけて飛び蹴りを見舞わせることなんていうのも始めから選択肢から除外しているのがあなただ。後々困ることにならないよう、じぶん以外の住人たちに迷惑がかからないようあなたは辺りを窺いながら暮らしている。木に向かって行く速度、適切な声と言葉をまとめている表情、持ち上がりつつある何かにきっちり対応してみせようとしているその姿だけとってもあなたらしさが十分に感じられる。



 この話はもちろん、いつも通りに珍しくもない終わり方で終わる、あなたらしく、ずっとあなた一人で抱え込んでいくしかない類いの何かだけを残して閉じられるだろう。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ