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お優しい方々のキスしか飛ばない世界はいらない






 私、傷つける程度で済ませるつもりがない。心に消えない痕が残る、美しい傷、夜光るような傷ぐらいで終わるのは嫌。その人じしんになるまで深くその生に食い込むことをしたいと望む。



 愛しいと、傷つけたいは、同義。側にいてということと、可能性を捨てさせることが同じ意味になってしまう以上は。

 どっちが難しいかといえば、側にいる恋人を傷つけないで一緒にいるほうが難易度が上がる、それは当然の話で、それで別れないとなると一日一日が、罪深い身だってことで、私がぞくぞくするのはそのせい。私は必ず友達の心や恋人の心を傷つけていく、夜のうちにこっそりとトランプタワーにしてしまう。そして一向に彼ら彼女らが、傷に心に気づかないままなのは、私が上手にこの手で触れ続けるせい。本人たちに何が進行中か気取られないように。



 ずっとそのままで命使い果たしちゃってていいんだよ?

 それほどに私が、付けた傷が、作りかえた心が、その人自身になっているレベルで私は、愛とやらをやりたい。上手に破壊がしたい。

 本当の本当に、誰かの人生を台無しにするというのは、その人が死に際になって初めて疑念を抱くぐらいでないと、だって台無しだとはいえないはずでしょ?

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