ユース/LDK
ユース
へばる夕闇が仕事していた、ちょっとした覗きポイントをうんでいる、中校舎のかたすみ、男子中学生ふたり、ひみつ、あやとり、しんのぞうを止める、できたての心音で、できたあやふやで、今の内、内緒で呪われていた脳で、今の糸は赤、複雑怪奇も秘密も、慣れっこの自分嫌いの手と、秘密もあやとりも初めての一人っ子の手、それは備えてたあやふやで、覚えきれないような秘密のムード、赤くなる両手だけじゃなくあっちの彼のほうは赤い舌も使わないと駄目、今の内、どうしても終わらせることはできない、とても追いつけない、こんなにも指たちが赤く動くのは、今の内、そうしてひみつあやとり教室の床にただ撒き散らし、今の内、どこにもおぼろな花弁を載せたくない、良く出来ているひみつだからこの日だけで済むのか? この日一度だけのことで済むのか? きっと世界は狭いのだろうと彼らは、初めての理解をする。
それは、忘れられるわけがない形。
LDK
僕が食べてもいいチョコレートがこの世界に増えていく。
彼女が食べてもいいチョコレートがこの世界に増えていく。
彼はじっさい僕に向かっていった。
「おれが食べていいチョコレートが増える世界だったんだなここ」




