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あるルー厶
彼のワンルーム。
長居したいと誰が思うというのだろう、カーテンを買え、ソファを買え。本は100円ショップの収納袋に入れて壁際に寄せられている、ちゃんとした棚を買え。冷蔵庫を買え。僕にスリッパをお出ししろ、ちょっとくらいは構え。楽しませろとはいわない、限度があるだろうっていう話。
この友人は全てをマグカップで一点突破していた、シリアルもスープ春雨もサラダもコンポタもコーヒーだって寝癖直しだって恋愛感情だって雨漏りだって流れ星だってそう。女子たちからバイバイミスターマグされ続ける人生を生きてた。
愉しませろとはいわない、きっと大抵の人が彼が頷くのを見たいと思ってるわけじゃない、あまりに長く沈黙は続く、かろうじて音楽はここにあるがしかし、違う曲にしようよ。




