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その闇の深さはどれくらい
彼と結婚すれば幸せに暮らせる気配、そう彼女はいうと深い闇の底へ落ちていった。
あんなふうに恐怖心のかけらもなく、まるで、クッションの海がすぐそこでじぶんを受け止めてくれるはずだから大丈夫といわんばかりに真っ逆さまに闇の中を落ちていける人間なんて、でも珍しくもない。
幸福が何なのかも、知らない、はぐらかし続けてきた、幸福にすら人は合う合わないがある、それを発想すらしてもいない人たちなんていうのもやはり珍しくも何ともない話。
せめて痛みも苦しみもそこにありませんように。




