ジョイ
当選の女の子と落選の男の子がいる。
女の子には男の子の考えがまるでわからない、男の子は大変な努力家、人生の出発地点がそもそも当たりだった女の子にしてみれば、常に努力を続ける落選の男の子のことが理解できないのは当然だった。
誤算だったのは、と男の子は考える、彼女は不思議ちゃん、よく見ようとしてくれている。
うまれたその日から外れであること、それがどういう味がするものなのかを、男の子は女の子が永遠に理解できないと知ってはいた。そして女の子には理解できない、苦い味をただ苦手だといっていればよかった実にシンプルな当たりの人生だし、外れの男の子なんだから全てそうだと決めてかかる、素早い選択だけが唯一の得意技の同級生たちもいて、にもかかわらず、女の子は倣わない。そうしたいと思わない、ただじぶんが何かを確かようとしている節が女の子にはある、落選に手で触れるほどの距離にいる当選、この胸に広がるもの、これは何? そもそもこの全てがあるのはなぜ?
女の子は男の子を見ていたかった。
当たりの子にしてみると、そうするのが当たり前のように思えた、きっかけすらもなかった。ただ始めからそうで、それだけで、外れの子はよく首を傾げている。当たりの子も心もち首を傾げ、じっとまた見つめて、するとまた外れの子も当たりの子を見つめ返すのだった。
こうしてふたりは続いていく。




