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あたしには書けないこと






 愛という、漢字一文字の題名が必ずついている小説を強制力をもって執筆させられるんだったら、その人がどういう人間か手がかりのようなものはきっと手に入れられるだろう。じぶんではない誰か他の人間について理解しようとする時、言動の一つ一つを精査するよりも、あらかじめ愛と題されている小説を書き上げてもらうほうが話が早い場合もあるだろう。それにこれはどう転ぶのかが見えにくいタイトルだ、愚直に現代社会を描くか、終始ブラックユーモアか、実験的作風か、果てない夢を追い求めるか、どう転ぶのかは読んでみないと。あたしはこの冬にそれを書き始めて完成させていた。先生が生徒に課題を出すみたいに誰かから課されたわけではないのだけど。あたしの場合には一行で終わっている小説になった。愛が長編と短編のどちらになるかという点はまず人となりが出るところかもしれない。思えばこの言葉にあたしはうんざりさせられてきた期間が永かったのだ。恋は違う。恋はいい。

 愛という小説はもう書いた。でももしかしたら恋は、この先もずっと書けないかもしれない。

















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