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半額






 半額シール。ずっと同じところにうずくまるボクたちの額に、シール。

 よく見えるように、と。とっととよそに行ってくれますように、と。

 それは誰かを気遣う気持ちとは程遠い。彼女たちはきちんとした格好をしている、その手にボクたちは手荒に扱われる、半額シールを額に貼られる時ぐらい、彼女とボクたちの距離がゼロになることはない。知っている。それはキスをする距離だ。ボクたちは目を閉じるけど、緊張で爆発しそうになっているけれど、美しいことなど人生には起こらない。彼女の残酷な親指が、ボクたちのことをグリグリと、憎しみも露にしながら押す、押し続ける。動きはあまりに執拗だった。だからボクたちのうち数人は堪えきれず泣く。もう必要なだけ分かっていたのに、彼女はボクたちを必要以上に憎悪したから、だから泣く。前から分かっていること、何度も考え、痛いぐらいにじぶんたちでも分かっていることだから、前からとても痛いのに痛いといえない、彼女の立ち去るのを待って泣くこともそれは不可能だ、じふんたちでもとっくに分かっていることを分からせようとする、その指ほど残酷なものはない。

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