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年賀状
10年、顔を合わせていない家族から年賀状が送られてきた。
母親が階段で足を滑らせて今は療養中だの何だのと、添えられているメッセージに大して内容があったわけではなかった。でも、じぶんでも過剰反応だと感じるくらいに苛ついた。日本人作家のお粗末なげんだいぶんがくとやらのために紙が使われているのを見ても苛つくのに、年賀状だなんて。
返事のことを考えているだけで、1月が終わろうとしていた。
出すか出さないかはともかく、率直な返事として僕の頭に浮かんでいるのは血まみれのビデオクリップ。
次々と、色んな場所で、色んな最期を迎えていく男たちと、返り血まみれのサブリナ・カーペンター。
歌われている内容は過激な映像描写にも相応しいストレートなもので、つまり彼らが何を感じていようと、何が起ころうとも、こちらとしては何にも思わないという内容。
「私のことが恋しい? こっちは全然」
明日には、僕はもう忘れてしまうだろう。




