表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
381/618

夜中9時の幸せ




 


「ひるからほんとに何も食べてなかったからさ」


 明らかに慌ててキッチンに入っていくあたし、そして朝のうちに作っておいた毒入りカレーの鍋が水につけられている様を見下ろしているあたし、そのまま何もいえなくなっているこんな状態に陥っているあたしに向かって彼はそういった。



 振り返ると、その顔は食意地からくる照れで赤らんでいるように一瞬見えるのだが、だが、だがしかし、そんなわけはないのである。



「美味しかった?」


 訊けば、彼は背を向けてしまう。恋人が手作りするカレーライスって幸せ気分が味わえるからどうのこうのと彼はまくし立てる。

 どっちにしろ、この野郎。



「私も」


 どっちに転んでいくとしても、この瞬間のあたしはそういっておく、一人で完食かいとは思ったけどね。気に入って食べてもらえたんなら嬉しいよ、私も幸せ、と。



 どっちにしろ、だって、これが彼と過ごせる最後の夜中9時の幸せ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ