歴史の教科書にきみが載る
きみという存在に救ってもらって、思ったんだ。これからはずっとこうなんだ。こんな日々が続いていくんだ。もうひとりなんかじゃないんだと。
きみはそうやって、片手でぼくの孤独を掬い、反対の手で優勝トロフィーを投げ捨てた。
だからだ。
きみだけはいつも体調がいいから。かっちょいいから。きみは何も所有しないし、きみには理由がないし、きみはきみだけの隠し場所を知ってるし、きみはいう、沢山がいい、と。
知りたいことが常に沢山あるきみだから。本音を隠すことをしない人だから。きみは生き急いでるから。
きみは、歴史の教科書にいつか載る。これは確定事項。
沢山、ときみはいつでもいう。
沢山のゆめ、沢山の金、沢山の支持者に沢山の涙。沢山の死体の山を築くという、きみの野望。きみは沢山殺されなきゃいけない、そしてその度に生き返るんだ。遠くの街からきみの噂がきこえてきたりするんだろうな、その頃きみは沢山の女性を孕ませてる。ただ沢山の悪夢をこの世に生み出すためだけにそれを実行してしまう。きみはそういうのができてしまう。きみはむしろ善良なパパの皮を被り続けるような人種だ。きみはコールドブラッド、世界のルールはその手で書き換えられる。
沢山、ときみはいつでもいう。
実感したいんだ、目で鼻で耳で、皮膚で舌で。飽き足りないんだ沢山欲しいんだ、きみは大きな笑顔で、地獄の風景をぼくに語る。
きみは沢山連れて来たいし、連れて行きたいし、いい勝負だったときみは敵に告げもするんだけどその次に瞬間にじぶんでじぶんの致命傷を瞬時になかったことにしてきみは無敵で、きみは全てをその手に収める、そして失い続ける、初めてを沢山する、きみは最後の最高の悪夢になる、歴史の教科書にきみは載る、男子たちがきみの顔に落書きなんかしたりする、したら、全員が呪いにかけられる。
地獄からもきみは世界へ沢山の愛を送り続けるんだ。
きみは永遠に輝き続ける。
きみは永遠の少年。
きみの手が届かないところなんてこの世界のどこにもありはしないよ、早く、早くきみとこの呪いに疑問を持たなくなるぐらいに人類にとっての歴史の教科書にきみが載る、そんな終わりの日がきますように。




