表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
376/618

手を離す理由






 理解の限界、体力の限界、気力、時間、そして何より愛、愛は限られているから。

 全ての人に分け与えられるほど、人一人の心は、大きなものではないから。

 海にできることが彼女にはできない、時折できていたとしても殆どの場合できないから。

 平原がうけとめるようには彼にはうけとめられない、ずっと静かなままではいられないから。

 心は全ぶ割れ物だから。



 生きているその姿に初めて見た時から惹かれた、その人らしさを綺麗だと思った。

 それが答えだった。

 最初から答えを知っていた。

 最初から最後の時が過ぎても残るたったひとつのものを、手に入れている。それでも尚、その人の側にい続ける。そんなのはごく自然な状態であるとされている。愛をしたい誰かの側で生きるをしたいと思うのはとても自然な感情。



 けれども、結局は、一人の人間の側を選んでい続けることは、慈愛の精神を持つべきではない他者を作り出してしまうということだった。もっと正確には、こういう見方をすることにじぶんはもう決めました、全ての人間を見捨てる準備はじぶんにはできています、そう宣言しているようなもの。攻撃態勢ではない、だが何も起こっていないうちから既に焼死体として全てを見ているかのような、しかも地面に転がっているそれが生き別れの肉親であろうが誰であろうがどうでも良いと、全身でそうはっきりいっているようなものだった。



 だから、あなたは、彼女に突き離されたのだ。

 だから、あなたは、彼に見捨てられて置いていかれたのだ。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ