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家の中で
家をちょうだい、と彼女。
そしてその中を幸せと不幸せで一杯にして圧迫感で白目になる。愛が窓ガラスを突き破っていく、私たちは一斉に全身で喚き散らす。暮らしをさせて。ベッドの中で見事に凍えて、微笑みながら最期を迎えている、そんな暮らし。悲鳴を上げ続ける声で家がパンパンになるまで膨らんで、膨らんで、真夜中に弾けて終わるんだとしても始めたい。故郷の山から遠く離れていたいだけのあくび。彼のダークサイド。シリアス、瞳。そんなものたちに囲まれた生活で、私の家の中で、私たちが血まみれになるようなら仕方がない。私の家の中で私たちがそうなるのならそれはもう仕方がないこと。きっとそういうふうに思えるわ、私のこの足が家を踏み潰す。




