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猟犬






 彼はいつも僕にいった、見ることだけはいつでもやめないようにと。

 黒い液体がなくなったあとの、カップの底。

 群青、風むきをわかろうとしているきいろい通学ぼうの動きも。

 きずをつけたり、きずをつけられているときの人間の手を。

 かたい扉の前にいるときの人間の足もと。

 人間の目のおくにあるもの。


 追従わらい、シームレス、へんな泳ぎかたをする子ども、うつくしい泳ぎかたをする子ども。

 僕はまちつづけているんだと思う。


 僕は期待をこめて見ているんだと思う。

 ひとの怒るところ、ひとのつよいところ。

 ひとの遅刻するところ、ひとの弱みがついにあかるみにでそうなところ。

 僕は見た、あたまに雪がつもっているラストを。意味のない夢のような、なんでもないしゅん間を。


 おれた鍵のいきさきが幸福なところだといいといったひとが、やがてちゃんとうずをまく感情だからとぜったいすぐには感情をもらわないでいるだれた人びとのなかへ、笑顔でまざっていく不思議を。

 僕は見たい、ぼうしのとばされていったゆくえを僕はいつでも見たい。





 めまぐるしい青い物語では、きっと主人公をはるような少年たちなら、ひとりきりで、まどべで、サンドイッチを食べるのすきなんだろうと僕は思う。あのクレイドルで知りあった男の子たちもきっとそうだったんだろうと僕は思う。





 痛い娘の瞳、大なわとび。

 とれないよごれをこちらにもなすりつけようと、近づいてきている指はなんどか。

 檸檬いっこぶんの檸檬。


 なにかを、誰かを見ていて、それが二人組であれば、重ねあわせないでいるのはそうとうにむずかしいときく。

 安全装置のはずし方をかんたんにではなく、ていねいでもないけど、いっしょにそこで、晴れた朝の戸外で、いっぽうがいっぽうになんどもおしえていた。

 きのう見た、ふたりの少年のこんな絵が消えない。

 僕はそこに彼を見たし、実さい僕はなんにでも彼を重ねあわせてるのかもしれない。それを僕は悲しく思う。

 こんなに、どこにもいかないで、なにも望めないで、つづいているのが僕であるのなら、僕は悲しく思う。






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